兄と弟と妹と
□秘密結社って言ったらもう秘密じゃない。
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神羅も体調が戻ったようだから、と俺らは一旦万事屋へ帰った。
神楽もつきっきりだったから疲れてすぐに着替えて寝息を立て始めた。
静かに押し入れのふすまを閉めて、椅子に座る。
「・・・。」
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「・・・は?」
それは唐突に、しかし淡々と告げられた事実。
「俺あと半年もたないらしいよ」
「そんな軽々と言うんじゃねぇよ。
…病気のこと、神楽は知ってんのか」
「神楽に知られたくないと思ったから俺が倒れた理由をはぐらかしたんじゃないのか、銀時」
「…。」
「…別に今更どうこうできることじゃないんだ。
手がつけられないから、諦めた。それだけだ」
「そんな簡単に、」
「簡単じゃねぇよ」
「…。」
「…簡単じゃ、ないんだよ」
神羅の瞳が、俺を見据える
返す言葉がみつからねぇ。
ベットに腰掛け、力なく笑う神羅に、俺はなんて返せばいい。
「…病気のことは家族にはいってない、言う気はない」
「なんでだ」
「心配かけたくないなんて理由じゃない。まぁそれもあるんだが・・・。
…俺を理由に仲良くなったりでもしたら嫌だ」
「…は?」
「うちの家族が仲はいいような悪いようななことは知ってるだろ。
でも、だからこそ神威も神楽も、俺抜きで和解して欲しい」
「…。」
「俺が病気になったから、なんて理由じゃ何も解決しないんだよ。
俺のために和解するんじゃない、
家族は居て嬉しいものであるべきなんだからさ」
「…だからずっと黙っとくってのか」
「…あぁ」
「お前が死んだとして、神楽は何も知らないまま泣くんじゃねぇのか。
それでいいのかよ…。」
返事はなかった。
紅くなる夕日をみつめる神羅は俺に背を向けていた。
「俺は、お兄ちゃんだから」
お前今どんな表情してんだ。
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神楽には黙ってて欲しい、とは言っていたが。
何も知らずに兄が死んだなんて納得も行かないだろうし、なにより
「…不憫だろうが」
かといって俺が言っていいようなものではない。
だからって…。
「!」
「銀ちゃぁん。」
いつの間に起きたのか、傍には神楽が立っていた。
全く気づかなかった。ちょっとビビったのは気のせいだ。
「んだよガキはもう寝る時間だろ」
「あのネ、兄ちゃん…」
19:秘密結社って言ったらもう秘密じゃない。