兄と弟と妹と

□友達の友達って話しにくいよね。
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春雨の広い船の中。
窓側に腰掛ける神威は、俺に何やら物騒な話題を提供してきた。

「将軍首とりゲーム?」

神威は笑顔のまま頷いた。

「うん、今シンスケと勝負してんの。
兄さんもやらない?」
「やらないよ。
地球のいざこざに巻き込むな」

今いる場所は地球。
依頼で惑星を転々としていたら、珍しく神威から連絡が来て春雨の船に乗った。
しっかし…なんかめんどくさそうな事に巻き込まれかけてんなこれ。
なんだ首とりゲームって。ネーミングセンスもねぇな。

「いざこざ?」
「政権争いしてんじゃないのか?」

しかしそうか、本格的に鬼兵隊は将軍の命を狙いに来たから、だから船の中がどちらもどことなく慌ただしいのか。

「あぁ、なんか弱っちいやついたけど…シンスケはただの道具って言ってたよ」
「…まぁ、俺としてはどちらにも関与するつもりはないよ」
「えー、依頼として頼むのは?」

窓の外の煙に視線をやった。
爆発音もちらほらと聞こえてきているから、結構激しく戦ってるようだ。

「誰とがちんこするのか知んねーけど、別に戦力足りてんだろ?」
「足りてるんだけど、イレギュラーがいた方が楽しいじゃない?」

イレギュラー、ねぇ。

「ねーやろーよー、サムライ、とか『忍』ってやつもいるんだよ。
そこに《狂王》が加わったらすごい面白いじゃん。俺が」
「結局お前が面白いだけじゃねーか。」

神威のデコに軽くデコピンをする。
いたっ、と小さく漏らしたが聞き流した。


+++++++++++++++++++


甲板に出ると阿伏兎さんがいた。

「どこ行ってたんだよ団長」

軽く会釈すると返された。阿伏兎さんって結構常識人だよな。

「神羅兄さん勧誘してたんだけど断られちゃってさ。
やってるやってる」

船から見下ろせば血飛沫に死体に煙に…。あーあー。

「あれ、兄さん?見ないの?」
「興味ない」

関与する気はないし日は照ってるしで暫く室内にいようと踵を返す。
その時、

「あのガキ確か将軍とやらの妹だったか。
そんなビップにもう護衛1人ついてねェ」
「!」

将軍の妹…?
下を見るとああ、確かに写真で見た将軍の妹。
そよ、とか言っただろうか、

神楽の友達の、

「ん?誰だろうあれ」
「!」

沖田くんまで出てきた。
将軍の命が狙われてるとなると、仕えている側の真選組は護衛に回るのは必然か。

「へぇ…。」

あ。
言うが早い、神威は阿伏兎さんの静止も聞かずに船から降りた。
それに続くように俺も船を降りた。
あーあーもうっ!



21:友達の友達って話しにくいよね。
 

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