兄と弟と妹と

□答えは一つと限らない
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まさか、まさかと思った。

高杉ら鬼兵隊と、神威ら春雨第七師団が地球で一悶着起こしたと聞いた時、嫌な予感がしたんだ。
まさかもう1人の息子まで関わってるなんて思わなかったといえば嘘になる。
あいつは確かに政権争いなんて俺と同じく興味は全くないが、予想打にしないところに興味を持つ。
だから息絶え絶えに倒れてる神羅を見た時、驚いた。
そこに神羅がいることではなく、あの神羅が倒れていることに、だ。

しかし、その後…俺はそんな驚きを覆す程の更なる驚きの事実に向き合うこととなる。

洛陽に連れ帰り、介抱をしている中で気づきたくないことに気付いちまった。
床に伏せる神羅が、母ちゃんと、江華とどことなく重なる。
時折咽るように咳き込み、血を吐いた。
その後、意識を失ったようにまた伏せる。
なかなか完璧には意識を戻さない神羅を前に、俺はある予想に行き着いた。
しかしそれこそまさかと、そんなはずがねぇと思った。
神楽や神威にそんな兆しは見られないのにとは思ったが、1度思ったからにはなかなか消えない。
まさか、そんな、
右手に握るアルタナの結晶石を神羅の手に握らせる。
これで容態が安定したら、俺の予想は確信に変わる。
どうか違ってくれ。
これのせいで安定なんてしないでくれ。
どうか…

しばらく経った。
恐る恐る俺は神羅をみる。
すると神羅の額から先程までの脂汗は消え、呼吸は安定し表情も幾分か安らかになっている。

ああ、なんてこった



34:答えは一つと限らない

(遺伝した例はないが、)

(有り得ないなんて、誰が云った?)
 

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