兄と弟と妹と
□見えない所で変われるのも成長
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走る
走る
ただひたすら、音のする方へ走る。
また子ちゃんたちと合流したと同時に神威を追いかけた。
どうせならば高杉が目を覚ますまでそばにいたかったのが本音だが、嫌な予感がした。
虫の知らせとかではなく、そう、これは…あの時と同じ。
俺が買い物に行ってて、その間に父さんと神威が戦っていたあの時と同じ予感がするんだ。
杞憂ならばそれでいいが、杞憂だとは思えない。
この星には父さんも神威も神楽もいる。
鉢合わせでもしようものならと考えると眉が寄った。
そもそもこんな組織同士のいざこざに、あの父さんが介入していること自体不思議だった。
理由はなんとなく察しがついてた。
父さんは神威を殺す気でいる。確実に。ならば俺はそれを止めなければならない。
それに、
『もう二度と、こんな酷い日は来ないよ。』
あの時神楽にそう言った。
あんな酷い日は、1日だけで十分だ。
そう思うのに俺の体は思うよりも速く進まない。
「くっそ…!」
前ならばもっと速く駆けつけれていたのにと悪態をついても仕方がない。
ただひたすらに後を追いかけていた
そして見えた
父と弟が争っている姿?違う
父が弟を殺した姿?違う
弟が、父を殺した姿?違う、
「還ろう ただの家族に」
成長した妹の姿を、目にしたのだ。
39:見えない所で変われるのも成長