兄と弟と妹と

□守るものと守られるもの
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神羅兄ちゃん、私強くなったアル

「還ろう ただの家族に」

前は何もできなかった。
ただただ、兄ちゃんに助けを求めるだけだった。
泣きながら、足にしがみつくことしかできなかった。

「今ならまだ 還れるアル」

でも、今は違うヨ。
神威に向かって、バカ兄貴に向かって行ける。
パピーと神威の喧嘩だって止めようと動ける。
私の手は、神威に届く。そう、届いて…

「もう手遅れさ」

肩を外した神威に地面に叩きつけられて蹴り飛ばされた。
起き上がる前に拳が振り下ろされる。

「やめろ、神威!」

パピーと神羅兄ちゃんは多分走ってきてくれてるよネ。
でも大丈夫アル、大丈夫。

「お前のしってる妹も もういないアルヨ」

神威を蹴りあげ、足を掴む。

「神威 変わっていないのはお前だけアル」

私は変われた。
地球で、万屋に入って、いろいろなことを通して、いろんな人に出会って。
私は、変われたヨ

「お前は強くなってなんかいない」

私は神羅兄ちゃんが泣いたところを見たことがないヨ。
きっと、泣きたくても泣かなかったんだ。
私達弟妹を守るために、兄としていたんだヨネ

「やめてくれ、なぁ、」

兄ちゃんの泣き声なんて、聞いたことない。
泣き虫な私と、泣き虫なバカ兄貴を守るために、守ってくれていた。
でもネ、私は

「神楽、もう、」
「バカ兄貴
私はもうお前の隣で一緒に涙を流すだけの妹じゃない
お前の隣で
一緒に血を流して戦える!」

だから、兄ちゃん、パピー

「もうやめてくれ、神威…神楽…」

そんな顔をしないで

またみんなで家族に還ろうヨ

「きっと還れる」じゃない

「家族に、」
「「!」」
「家族に、還るアル」



「星海坊主ぅぅぅ!」


阿伏兎さんの叫び声のあとに
どこかで見た覚えのある黒い烏が降ってきた。



40:守るものと守られるもの
 

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