兄と弟と妹と
□父の背中は曲がってても広い
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こいつは今なんて言った?
神羅は江華と同じく徨安のアルタナだ。
しかし目の前のこいつはおそらくアルタナは同じでも星は違う。
何より今自分で言った。『他星の』と。
他星のアルタナを入れれば入れられた器は故障するしかない。
受け付けずに、拒否反応を起こす。
それが今、息子の、神羅の体に起きているというのか。
「ぅあ、あぁあ」
苦しむ神羅。
共鳴してるのか、反応したのか、俺にはわからない痛みがもどかしい。
「…お前は下がってろ、神羅」
どうすればいい。
どうすれば、俺はこれ以上失わずに済む。
目の前で薄く笑みを浮かべる烏を堕とせば神羅は助かるのか?
どうすれば、
「最初にあった時から感じていましたよ」
「…。」
「あなたとはいずれこうなるんじゃないかと」
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動け、動け足
力を入れろよ、腕
立ち上がれよ、体、なぁ
父さんと烏の戦いを見るだけしかできない。
「ぁと少しなのに…」
弱々しく石を握る俺に影がさした。
見上げれば暗い目をした弟。
「そう、あと少しだよ、兄さん」
軽々と肩に担がれる。
もう体に力が入らない。
「か、むぃ…」
なぁ、神威
42:父の背中は曲ってても広い
(お前のいうあと少しって、)
(何のことなんだ?)