過去拍手

□●神楽Happy Birthday
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「ごめんって神楽…。」

「…。」

「兄ちゃんだって帰りたかったんだけど、なかなか…。」

「…。」


部屋の隅で体操座りして頬をふくらませる神楽。
原因はまぁ俺にあるのだけれど。

神楽の誕生日、11月3日。
その前日に仕事が入り、俺は家を空けなければならなくて。

『神楽の誕生日までには片付けて、一緒に祝うから、な?』

『…絶対ヨ』

ただでさえ出発前になだめるのですら困難だったというのに…。
今回に限ってペアで討伐依頼したせいだ。
1人なら絶対半日で事足りた。あいつ絶対許さねぇ。

結局帰ってきたのは3日の23:21。
玄関を開けたら神楽が体操座りして待ってて、俺の姿を見るなり部屋の隅に移動してしまった。

そして今に至る。
神楽は完全にへそを曲げてしまってこっちを見向きもしてくれない。
そりゃそうか、誕生日だもんな。
1人で迎えたくなんかないか。
留守番はいつもしてるからきっと平気だとは思うし、今日が何の日でもなければ今頃神楽は布団の中にいただろう。

「ごめんな、神楽。
今年のプレゼントは奮発するから」

「…。」

神楽がこちらを見た。

「できる範囲なら何でも買うから」

「…買わなくていいネ」

「?」

「…私、兄ちゃんの傘が欲しいアル」

俺の持つ紫の傘を指さした。

「傘…でいいのか?
でも、こんなボロボロのじゃなくて新しいいいやつ買おうよ」

「嫌アル、これがいいネ。
これじゃないと許さないアル!」

「うーん…。」

傘を渡すことは別にいいのだけど、こんな仕事で幾度となく使われてきたやつより新品の方がいいと思うんだが…。

「…これでいいのか?」

「これがいいアル」

「じゃあ、はい」

数時間前までえいりあん達をなぎ倒してきた傘を大事そうに抱える神楽。

「…ほんとにそんなんでいいのか?」

「兄ちゃんくどいアル」

「うっ…。」

でも、まぁ大事そうに抱えているからよしとするか…。

「誕生日おめでとう、神楽。

遅れてごめんな」

「もういいヨ、私全然怒ってないアル」

無邪気に笑う神楽の頭を撫でて、胸をなで下ろす。

「じゃあ今日はもう寝ようか。
ケーキは明日作るよ」

「チョコプレート乗っけてネ?」

「はいはい」






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はい、大遅刻でお祝いです…。

神楽ちゃんはお兄ちゃんが使ってる傘が欲しかったんですきっとそう
 

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