夢ヲ見テイタ
□Chapter. 4
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『コロセ…。コロスのだ…』
「うっ…」
『腕を切り裂き、吹き出すマグマをミナモに浸けて…』
「イヤアァァアッ!!」
目が覚めると、悪い夢を見ていたせいか、ベッドのシーツは汗で濡れていた。
私は布団をめくってリビングに向かって朝食を作った。
今日は日曜日。
これといって用事もなく、9時に起きた私はテレビを付けた。
ニュースがやっているわけもなく、バラエティー番組や朝の子供向けアニメが放送しているだけで、私が見たい番組はなかった。
それでも、何となく見る。
目玉焼きとスクランブルエッグを作り、その間に食パンを焼く。
コップに牛乳を入れ、レタスとトマトと玉ねぎが入ったサラダをテーブルに出す。
すると、こんな朝早くから玄関の呼び鈴がなった。
「はい。」
落ち着いた声で出ると、そこには南野秀一がいた。
「おはようございます。今起きたんですか?」
「日曜日の朝から何?まさか、私の見張り役だからって、家に押し掛けるつもり?」
「君が望むならそれでも構いませんよ。」
私は寝癖のついた長い髪の毛を手ぐしで解かす。
「今からご飯なの。それでも良いなら、入ってれば?言っとくけど、何にもないから。」
「どうも。」
私は南野秀一を部屋に入れた。
南野秀一の家は隣の家だし、別に良いかな…って。
私は再びキッチンに戻るとトーストを取りだし、ちょうど良い時間に目玉焼きとスクランブルエッグが出来上がった。
私はトーストの上に目玉焼きを乗せて、パクリと一口食べる。
「君は朝からアニメを見るんですか?」
「別に好きじゃないわ。暇潰しよ。」
南野秀一はソファに座って、目の前にある液晶テレビをチャンネルを変えずに見る。
その間に朝食を食べ終え、私は南野秀一に紅茶を出した。
「ミルクと砂糖はお好みでどーぞ。」
「ありがとう。」
私は洗面所で髪の毛を整えて、洗顔をする。
本当は、食べる前に洗顔をするのが当たり前だと知っておきながら、いつもの流れでやってしまう。
タオルで自分の顔を優しく拭いて目の前の鏡を見る。
実に、醜い顔だ。
"どうした?"
Bちゃんが心配そうに私に聞く。
「…別に、何でもない。」
私は髪の毛を再びいじって整える。
私は洋服を脱いで朝風呂をした。
"どうしたの?花子。元気無いよ?いつもなら朝風呂なんてしないでお勉強してるくせに…。"
Cちゃんまでが心配そうにして聞いてくる。
"嫌な夢でも見たのか?"
Eちゃんも私を心配する。
「ちょっと…ね。」
そう言いつつ、風呂から出てタオルを巻いた。
そのままリビングに行くと、南野秀一はピクリともせずうたた寝をしていた。
そうとう朝早くに起きたのか…。
私は冷蔵庫にある野菜ジュースをコップに入れて飲んだ。
濡れた髪の毛から滴る水。
ポタポタと地面に不規則に落ちていく。
そのまま姿勢を変えずに固まる私は、あの悪夢が正夢でなければ良いんだけどな…と、念じる。