小説部屋─如月─
□陽だまりのように
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陽だまりのように
幼い頃からずっと一緒で。
いつの間にかそれが当たり前で、気が付けば好きになってた。
近づくたびに背が伸びていく彼に、私は見上げなくちゃいけなくて、同じ大きさぐらいだったら手が、いつの間にか包み込まれるぐらいに大きくなってた。
時々、私を守ってくれる背中は広くて大きくて、安心させてくれる。
そして向けられる表情は
例え陽を背にして、影になっていてもわかる。
優しく心配げに自分を見つめている事。
「大丈夫。アイちゃん」
掛けられる言葉に飾り気なんてないけれど、もう、それだけで十分満たされてる。
「ありがとう。大丈夫よ」
と言うとホッとした様にため息をついてまた私を見て笑うの。
「今回はちょいやばかったかな。本当、良かったよ。アイちゃんが無事で」
ガンちゃんはいつもそう言って私の事を心配してくれる。
でも、私もガンちゃんには怪我をして欲しくない。私ができることならなんでもしたいし、守ってあげたいの。
守られてるだけの女の子なんて私は嫌だわ。
「私はガンちゃんが無事で良かったって思ってる」
ガンちゃんはそう言うと少しキョトンとした表情を見せた。
貴方が私を心配してくれるように、私にも貴方を心配させて。
「アイちゃんが祈ってくれるなら、神様だって味方をしてくれるだろうし、死神だって道を譲ってくれると思うよ」
そいうガンちゃんにちょっと膨れた表情を見せて
「本当に心配してるのに!」
って言うとガンちゃんは真っ直ぐに私を見つめて、ただただ優しくあやすように言うの。
「アイちゃんが願ってくれるなら、叶わない願いなんてないよ」って。
そう言われて言い返す言葉なんて見つけられなくて、そして、そんな風に見つめられて、恥ずかしくなって下を向いたら、ガンちゃんは、そっと私を抱き寄せて額にキスを落とした。
優しいほんの触れ合う程度のキスを。