小説部屋─如月─

□膝枕
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膝枕






昨日徹夜してヤッターメカの調整を行ったせいか、眠くてしょうがない。

学校でウトウトしながら午前の授業を終えた昼休み、俺はいつものように屋上に出ていた。

いつもここで、アイちゃんの作ってきたお弁当を食べるのだ。

今日も晴天で空は青々としている。そこに心地よい風が吹いてきてツンツンとした俺の髪を揺らす。

それがまた気持ち良くって。

「ガンちゃん、どうしたの?目の下にクマなんか作って」

屋上に上がってきたアイちゃんが俺の顔を見るなりそう言った。
俺は、アイちゃんの作ってくれた弁当を受け取り、包みを開き弁当箱の蓋をあける。そこには色とりどりに詰められたおかず。すっげー美味しそう。

「いやあ、昨日、ヤッターメカを調整に夢中になってたら、気付いたら明け方になっててさ。それで」

そう言うと、アイちゃんはちょっと怒った顔をして俺に言うんだ。

「ヤッターメカも大切だけど、程々にしないとダメよ。ガンちゃんが身体を壊したら意味ないでしょ」

アイちゃんの手作り弁当を頬張りながら俺は次から次へと口の中におかずを放り込む。
本当に美味しいんだ。まぁ、アイちゃんが作ってきてくれたって事もあるかもしれないけど。

「うん。わかってるよ」

そう言うと、アイちゃんはため息をついて、

「わかってるんだか、わかってないんだか」

そう言って、またため息をついた。

美味しいお弁当を食べてご満悦な俺だけど、お腹がいっぱいになると、眠気が襲ってくるんだよね。
ポカポカ陽気だし。
そうやってウトウトしているとアイちゃんは俺の頭を膝の上に乗せて寝るように促してきた。

「もう、今日だけだからね。今はゆっくり眠ったら?」

ウトウトした表情でアイちゃんを見ながら俺は、

「でも、アイちゃん、授業があるんじゃねえの?」

そう言うと困った顔をしてアイちゃんは言う。

「一限抜けたぐらいならなんとかなるでしょ。それよりも、ガンちゃん、眠って」

そう言って、優しく俺の髪を撫でてくれる。
あぁ、もう確実に夢の中に落ちそうだ。でも、こんな暖かい日に大好きな人に膝枕をしてもらって、眠るのならきっと幸せな夢が見れそうだ。そう思いながら、俺はようやく眠りについた。


優しい時間が過ぎてゆく。
今だけの戦士の休息。

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