小説部屋─山猫─

□怖い夢
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「俺がアイちゃん以外の女の子を好きになる筈無いだろ?。俺の好きなのはアイちゃんだけなんだから」
「…でも…」
アイちゃんを見ながら言ったら、でもアイちゃんは不安そうな顔で、その顔が少し俯いた。
「でもガンちゃんポリチネロちゃんにほっぺにチュウされてたし…ガンちゃんだってこの前アマゾメスの女王様のほっぺにチュウしたじゃない…」
「うυ」
アイちゃんに言われてあの時の事を思い出して。
でも。
「ポ…ポリチネロの時はまさかそんな事されるとは思ってなかったし、女王様も誕生日だって言ったからついお祝いの気持ちでしただけで、別に好きとかじゃなくて挨拶みたいなもんだったんだって⊃⊃。アイちゃんにしたチュウとは全然違うよ⊃⊃」
あの時とも両方アイちゃんにヤキモチ焼かれて、でもそれもその時だけで済んでたのに、今になってそれを言われるとは思わなかったけど、ポリチネロの時は不意打ちみたいなものだったし、女王様の時はアイちゃんにしたその流れでついしてしまっただけだから、アイちゃんへのチュウとは全く違う。
「…ほんとに?」
それを言ったら、信じてくれたみたいにアイちゃんの顔が上がった。
「当たり前さ。俺はアイちゃんしか好きじゃないし、これから先もアイちゃんしか好きじゃない。アイちゃんの声を無視したりだってしないし、アイちゃんが呼べばどこへだってすぐ駆けつけるさ」
「…うん。ほんとね?」
「ああ、本当だよ。もちろん」
「…。うん」
本音をそのままアイちゃんに伝えたら、やっといつもの笑顔で笑ってくれたアイちゃんに、心の底からホッとする。
やっぱりアイちゃんには笑顔が一番似合うし、アイちゃんに涙や泣き顔なんて一番似合わない。
「…ねぇガンちゃん…」
「ん?。なんだいアイちゃん」
ホッとしたところに声を出した、もう大丈夫そうなアイちゃんに、安心した気分のまま返事をした。
「今日だけ…一緒に寝ていい…?」
「え…。い、一緒に?υ」
「うん…。今日だけでいいから…。今日はガンちゃんと一緒に寝たい…」
「あ…アイちゃん…///υ」
アイちゃんの言ってきた要望は、俺にとっては嬉しいけど、でも複雑な要望だった。
アイちゃんからすれば、また嫌な夢を見るのが怖いから一緒に寝たいって事なんだろう。
でも俺からすれば、かなり大胆な事を言われてる気にもなってしまって…。
アイちゃんと寝られるなんて夢みたいだとも思えるけど、アイちゃんと一緒に寝るなんて…///υ。
(俺…今日寝られそうにないかも…//////υ)
アイちゃんと一緒だなんて、嬉しくて寝られそうにない。
寝られるとは思えない…//////υ。
(…/////υ……)
…けど…、アイちゃんがそれで安心するなら…。
安心出来るんなら……。
「///いいよ…アイちゃん///。じゃあここにおいでよ///」
「ほんと?。じゃあ…」
体をずらしてアイちゃんの寝る場所を開けて、そこにアイちゃんが入ってくる。
ベッドに横になったアイちゃんを見ながら、俺も横になって布団を被る。
(…うわ〜…//////)
目の前にアイちゃんの顔。
安心してるみたいに、嬉しそうに笑ってる顔。
アイちゃんと寝られるなんて夢みたいで。
その顔に見とれてしまう。
「ねぇガンちゃん…」
「Σ、なっ//////、なにアイちゃんっっ//////υ」
見とれてたら名前を呼ばれて、思わずドキッ!として。
「手…握って寝ていい…?」
「あ…///。う…うん///。はい…///」
焦りとか動揺とかアイちゃんの可愛さとかアイちゃんと一緒に寝てる事とか、そんな俺の色んなドキドキに気付いてないみたいなアイちゃんからの要望に、布団の中で置き場所が落ち着かなかった手をアイちゃんの顔の前に置く。
その俺の手を両手で包むみたいに握ってきたアイちゃんの柔らかい手。
「おやすみガンちゃん」
「…うん…///、おやすみアイちゃん…///」
幸せそうな顔で笑って言うアイちゃんを見ながら、アイちゃんと寝られている事に嬉しいけど落ち着かない気分が収まらないまま、目を瞑ったアイちゃんの可愛くてきれいな顔を眺め続けた。

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