Recreation 3


□上手く言えなくて
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『紫蓮、すごく楽しそうだったな。』

『別に、店長と仕事の話をしてただけだし。』

『俺より、奴と話してる方が良いみたいだな。。』

相変わらず、わたしを抑えつけて、鋭く見つめるクリス。

『そんなこと無いよ。』

『なら嬉しそうに話すなよ。』

『なんでクリスがいちいち気にしてんの?ただのバイト先の店長だよ?オタクで馬鹿な店長!』

クリスはいきなりわたしにキスをしてきた。
激しく。

『うっ……。。』

『俺より、若い男と紫蓮が話してるのを…見たく無いんだ。』

『え?』

『どうせ俺はオヤジだし、若い男の方が紫蓮は良いんだろ?な?』

『そんな事無いし。』

さっきまでの鋭い目が急に悲しそうになる。
そして、押さえつけていた手を緩めた。
切ない様な、寂しい様な目をしてる。

『俺じゃダメか?』

その言葉に
わたしはクリスが嫉妬しているのに気付き
思わず抱きしめた。

『馬鹿。クリスじゃなきゃわたしはダメなんだよ。なに年下に嫉妬してんの?』

『。。。』

クリスは恥ずかしそうに目を反らした。

『見た目はおっさんでも、十分中身は子供じゃん。』

わたしは笑う。
クリスもバツが悪そうに微笑んだ。

『すまない。初めての感情で、俺自身、訳が分からないでいた。』

クリスは押さえつけていたわたしの手を優しくさすった。

『痛くしてゴメンな。なんだか、紫蓮が俺から離れていってしまう様な気がしたんだ。』

『それは嫉妬。ヤキモチ。』

『俺が?…恥ずかしいな、なんか。』

『ま、そんなクリスもまたギャップがあって好きだけどね。』

わたしたちはそれから、ゆっくりと2人の時間を過ごした。



クリスのヤキモチ。
男らしくて、カッコよかったな。


上手く言えなくて。えんど。
『クリス、嫉妬してもカッコイイよね』
『いや、かっこ悪いだろ?年下の男を妬むなんてな。』
『クリスにも妬む心があったんだね。』
『そりゃ人間だからな。少しはあるだろ。』
『少しじゃなかったよ?あの押さえつけ方。壁ドン以上だったよ。』
『…ゴメンな』
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