Recreation 3


□HOWEVER
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午後。
俺は紫蓮と手を繋いで遊歩道を歩いている。

『なんか久しぶりだね、歩くの』

紫蓮は嬉しそうに俺を見上げる。

『なんか、こうやって歩くのもまた、良いものだな。』

『ねぇ、また任務行くの?』

『そりゃまた事件があればな。』

『ふーん。また寂しくなるんだなー。』

『事件があればだぞ?今は何もないし落ち着いているからな。』

紫蓮は何だか寂しそうだ。
俺は少し強めに手を握る。

『大丈夫だ。必ず戻るから』

紫蓮はコクリと頷いた。

『でもさ、なんかあればわたしもクリスの力になるから。』

先ほどまでニコニコしていた紫蓮の目が、力強くなる。

幼い紫蓮と気が強い紫蓮。
俺はそのギャップにまた、惹かれていく。

『ありがとう。』

『ねぇ、クリス、このままあの海に行こうよ。』

『遠いけど、ま、良いだろ。行くか。』

俺は紫蓮と手を離す事なく歩く。
紫蓮は時折俺を見上げ、ニヤニヤ笑う。

『ん?』

『クリス、イケメン過ぎるから、ついつい見ちゃうよ』

『いや、ただのおっさんだ。俺は。年甲斐もなく……10歳近く離れた子に惚れてしまうなんて、恥ずかしいんだ。』

俺は、なんだか自分が恥ずかしくなる。

『もっと……早く出会いたかったな。』

紫蓮が呟く。

『どうして?』

『わたしがクリスと同い年くらいなら、クリスが恥ずかしくなく、一緒に歩けたんじゃないかってさ。ごめんね』

俺は紫蓮の言葉に胸が締め付けられた。
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