Recreation 3
□らいじんぐ……
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テレビを見ていた紫蓮がいきなり笑い始めた。
『あははははーっ!クリス……あれ、見て!』
『あ?』
俺は酒を注いでソファに腰掛け、テレビを見る。
『あれ、ウェスカーおじさんに似てない?!ウケる!』
紫蓮はゲラゲラ笑う。
確かに、よく見ると金髪、オールバックで歌う奴がウェスカーに似ている。
紫蓮はゲラゲラ笑い転げる。
『やばっ。まぢウェスカーが踊って歌ってるよ、クリス!』
『ほんとだな。俺もやるかな。歌って踊れる隊長を。』
『やだ。』
『なんで?』
『絶対、ゴリラとか言われてファン減るから。クリスは隊長だけで良いの』
『しかし、紫蓮が言う通りにウェスカーに似てるな。まさか生まれ代わりか?』
『かもね。クリスに挑戦状を叩きつけてるんだよ。俺は今は、生まれ変わって、パフォーマーだ!って』
『ウェスカーの野郎……おやじのくせに。』
『クリスもおっさんじゃん。ウェスカーおじさんはきっと、悪から善へ生まれ変わったんだよ。パフォーマーとして。』
『くそ。先起こされたな』
『え?』
『俺だって……やりたい。』
『クリス、まさか……』
『あぁ、俺も、ライジングさん、やりたいんだ。』
『げ……』
『げってなんだ?俺は無理か?』
『いや……クリスは…いまのままが良いよ』
『そうか?俺はやりたいんだ。』
『じゃあ、練習して、オーディション受けたら?クリスみたいな肉体美はなかなか居ないから、ファン居るよ?』
俺は頷く。
『隊長を引退したらだな。体脂肪率なら負けない』
『体脂肪率より、年齢でしょ?40過ぎたら無理じゃない?』
『年齢か……ウェスカーはもう、50近いのに……』
『ショボーン顔しないの。クリスはわたしだけのクリスなんだから。』
俺は紫蓮の言葉にまた、笑顔になる。
ウェスカー。
生まれ変わって、輝いたな。
俺も負けないからな。
らいじんぐ……。 えんど。
『あー笑った。』
『確かに似てるな…』
『サングラスはずしたらどんな顔かな?』
『おっさんだな。ただの。』