Recreation 3
□過去と今と、これからと。
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明日は、バイトがお休みのある日の夜。
わたしはクリスとお酒を飲みながらゆっくりしていた。
するとクリスがわたしを見つめる。
『な……なんだよ、急に。』
わたしはクリスの真剣な眼差しに驚く。
クリスはわたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
『良かったら……紫蓮の事を教えて欲しい。』
『え?』
『昔話や、生い立ち。紫蓮の過去を俺はまだ知らないし。』
『う……うん……』
わたしは苦笑いを浮かべる。
確かにクリスにはまだ話していなかったし、自分から話す事もなかった。
なぜなら、クリスと出逢う前の事は何一つ覚えてないから。
『ん?どうした?イヤか?』
クリスは俯くわたしを覗き込むようにして見ると、呟く。
『無理しなくて良いんだ。辛いなら話す事はない。』
わたしはその言葉に頷き、口を開く。
『わからないんだよね。』
『ん?』
『クリスと出逢う前、自分はどこにいて、何をしてたのか、わからないんだよ。』
『本当なのか?』
『嘘じゃないよ。でもたまにだけど、断片的に映像が見える時がある。』
クリスは真剣な目つきでわたしを見る。
『どんなものか教えてくれるか?』
わたしは頷き、笑って見せた。
クリスは心配しているみたいだ。
『見えるものは、誰か……わたしを押さえ付けて……なんか、んー……注射器みたいななんかで、刺された感じ……』
『顔は分からないのか……?』
クリスはわたしを抱き寄せる。
わたしはクリスの暖かさに安心したのか
急に涙が溢れた。