未来工学園

□第一話
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中二病は現代の子供が思春期を過ぎたあたりで発病する未だ治療法のない難病である。
年齢を重ねるごとに自然治癒していくのを待つしかないのが現状。
しかし、最近では高二病という新たな病が流行り始めているらしい。

何故こんな話を持ち出したのかといえば、俺の知人がこの病の感染者だからだ。
勿論前者。

「くっ…オレの右腕に封印されし“漆黒の獄煉竜”が暴れ始めたか…っ!!」

この病に感染すると、こういった意味不明で実に非現実的でありくだらない言動や行動を起こしたりするので厄介極まりない。
空気感染はしないが感染者同士で徒党を組み集団で儀式をし始めるので注意が必要だ。
しかもこの症状が発症中は現実に引き戻すことは不可能なので関わらず・相手せずに放置し無視するのが最善の策といえる。
但し…

「遂に奴等が動き出したようだ…。括木!オレ達の力で『純白の堕天使』を駆逐する!!」
「…。」

巻き込まれなければ、の話だが。

第一話 騒がしい学園生活から一転

「Here we go!」

人に了承を得ることなく俺の腕を引っ張り教室を出る伊達政宗は俺が知る中で最も中二病が進行している頭の可哀想な奴。
周りの連中はこいつのことを“残念なイケメン”、そう呼ぶ。
病にかかっていなければ、今頃はハーレム状態でバラ色学生生活を送っていただろうに…。
それにしても、何故こいつに毎度毎度連れまわされるんだ?

いつからこういう風になったのか詳しいことは覚えていない。
気がついたら連れまわされていた。
周りの連中からは同情のこもった生暖かい視線を向けられ、先生たちからは労いのこもった暖かい言葉をかけられる。

そんなものはいらないから今すぐこの立場を変わってほしい。

「くっ…!奴等の気が大きくなってきている。」
「そうか。あのさ伊達、俺今日晩飯当番なんだが。」
「Shit!!第三の門が破られれば此の世は闇に包まれ、更に溢れ出した邪気によって人類は奴隷として扱われることにっ!!」
「おーい、聞いてんのか?」
「純白の堕天使め…テメェの好きにはさせねぇ!さあ、戦いd「聞けよ。」Σおげふぁっっ!!?」

壁に頭から突き刺さった馬鹿を見て考えることはただ一つ。

(壁の修理代、いくらかかんだろ。)

それだけだ。
罪悪感?同情心??そんなものは馬鹿に対しては一切微塵も沸きはしない。
酷い人間だと思われているかもしれないが、そんなあなたに一つ質問。
あなたはたった今買ったばかりのパンを落としたとき真っ先にどう思う?どう考える?
「あー、もったいない…。」と思っても、考えても「ああパン、私のパン。可哀想…多くの小麦たちが犠牲になったというのに…。」なんて考えないだろう。
小麦や卵、イースト菌等に同情するか?大多数の人はこんなこと考えない。
それと同じだ。

さて…こいつが復活しない内にさっさと帰ろう。
周りからの視線とヒソヒソがつらい。

「どうした括木!浮かない顔して!!」
「…おっふぅ。」

今度は貴様か熱血野郎ぉ…!!
どうして俺の放課後ってのは(効果後に限ったことではないが)こう、静かには終われんのか!!!

「どいてくれ徳川。」
「そうだ括木!儂と一緒にあの夕日に向かって走ろう!!」
「待て、離してくれ。」
「一緒に汗を流そう!そして是非ボクシング部へ入ってk「断る。」Σぬぅおわぶっっっ!!?」

そうだ、走って帰ろう。
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