wanderer into the blue 3
「きっと、大丈夫」
あの日、慣れた絶望の淵にいた。
ただ足元を見つめることしか出来ない無力な自分に吐き気がした。
「大丈夫だから」
燃えるような朱がすべてを染め尽くす。
馬鹿みたいに繰り返される根拠のない言葉と嘘みたいに綺麗な笑顔。
顎を上げ、真っ直ぐに前を見据えるその横顔が紅く滲む。
「大丈夫」
腕が引かれる。
でも、あのとき泣いていたのは、おれじゃなかったんだ。
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