黄昏時に伸びる影(合同小説)

□邂逅
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「案外普通の神殿なんだね。」

「お前…どこから入った…?」



えへへと笑いながら神殿の奥へ奥へと進んでいく人間を見つけて、俺は唖然とする。

侵入者を拒む数々のトラップ、侵入者の力量を量る数々の謎、

それらをいとも簡単に解いてしまう女。そう、女なのだ。

昔ここにやってきてモーファを倒して出て行った勇者は男だった。

男のアイツでも手間取っていたように思えたこの水の神殿に女がいること自体がまずありえない。

「お前、何者なんだ」


俺の声でやっと他の者がいると気づいたのか、ゆっくりと後ろを振り向く女。

さっきのは聞こえていなかったのか…。

俺の姿を確認した女は嬉しそうに顔を綻ばせて手を振ってきた。


「アタシ以外にもこんなところに来るような物好きさんがいたんだ!」


明るい声だった。

暗い神殿に場違いなほどに明るい声。

時の勇者を思い出す、強い声。


「ちょっと待ってね!すぐそっちに行くから!」


女はそう言うと軽々と足場飛び越えてものの数秒で反対側の足場にまで来てしまった。


「まじで女かよ…」

「んー?なんて?」


ダークリンクの言葉がよく聞こえなかったのか、女は小首を傾げる。

見た感じ、普通の女だ。
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