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□病気?
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────僕は、病気かもしれない────



昼休み。僕は屋上で一緒に昼食を食べている相手──空条 承太郎にそう告げた。
僕の言葉を聞いた承太郎は箸を休め、目線だけ僕に移していた。
その碧色の瞳は、何をいきなり言い出すんだ。と言いたげな瞳をしていた。
目線だけで承太郎の意を読み取った僕は、眉間にシワを寄せて応えた。

「最近、熱っぽいんだ」
「‥‥」
「更に胸を締め付けられるような感覚に襲われるんだ」

僕は承太郎に目線で訴えた。承太郎の瞳はじっと僕を見ていた。

「何故だ」
「解らない。けど、いつそうなるか、というのは解るんだ」
「…いつだ」

承太郎は箸を動かしながら言った。
卵焼きを食べるところのようで、綺麗に箸を使いそれを取り一口で食べた。
僕はそれを見て、承太郎が僕の病気について深く考えこんでいる様子は無いと感じた。

「君といる時だよ。承太郎」

承太郎は次に食べようとしていたほうれん草のお浸しを口の前まで持っていって、僕の言葉を聞き一瞬固まったが直ぐに口に運んで咀嚼していた。
どうやら少し驚いているらしい。
無理もないだろう。いつも行動を共にしている僕がいきなり君といると病気になるんだ!と言っているのだから。

「…本気で言ってんのか?」
「僕が嘘をつく男だと?」
「…否」

そこまで会話すると承太郎はめっきり黙ってしまった。いつも黙っているのだけれど。
暫くしたら、承太郎は言い難そうな、苦々しそうに見えて、よく見ると少し照れているような眼で僕を見つめ、重い口を開けた。

「…そいつは、恋ってやつじゃあねぇか?」

…‥…‥え?

僕がきょとんとしていたのを見て承太郎は続けて帽子の鍔をクイッと下げながら言った。

「テメェは俺に‥その…恋してんだ」

本人の口から 恋 という単語を言うのが出るのが嫌なのか途切れ途切れに僕に伝えた。

恋…‥
恋…‥‥?

「僕が君に‥? 冗談はよしてくれないか?」

そう。僕が君に恋だなんてあり得ない話ではないか?
そもそも、同性と恋だなんてどうかしている。
恋というものは普通は異性とするものだろう。
僕は友達というものがいなかったせいで恋というものがいまいちよく解らない。
だが、男女間の感情である事ぐらい解っている。
僕が怪訝そうに、とてつもなく疑うものだから承太郎はお決まりの口癖を言いつつ携帯で調べてみろ。と言った。

「…」
「‥どうだ?」
「‥‥…」

僕は心底驚いた。
何故なら、承太郎の言っていたことが本当だったからである。
どうやら僕は承太郎に恋…しているらしい。
自分ではあまり実感がない。
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