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□クッキー
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「承太郎先輩!」


自分の名前を後方で呼ばれくるりと首だけを動かす。
彼を呼んだのは彼の一学年下の後輩───花京院典明だった。
承太郎が振り向いたことに気付くと ふふ と微笑いながら小走りで彼に近づき、おはようございます と、承太郎に声をかける。
承太郎も ああ と眼を細めながら洩らした。
二人は並んで歩き学校への路をゆったりした歩調で進んでいった。


不良の様な一匹狼の承太郎と友人関係以外に完璧な花京院が何故仲良くなったのか───きっかけは一月程前の事だった。


学校からの帰路、花京院は書店で本を購入した後家路へと足を早めた。
すると、前方からいかにもな不良生徒3人がやってきた。
通りすぎようとする花京院の前に立ちはだかり金を出せと言わばカツアゲだ。
勿論、断るが案の定そう簡単に逃してくれるわけが無い。
花京院は肉付きはいいほうだが、身体が華奢である。
一人ならともかく三人もの相手は流石に不利だった。
逃げようか、戦おうか、警察を呼ぼうか、と考えている時に不良達の後ろから頭一つ分飛び出ている巨漢が現れた。

「邪魔だ」

ドスの効いた低い声で呟く。
不良達は彼を見るなりわなわなと震えだし尻尾を抱えて逃げ出した。
その巨漢こそが空条承太郎だった。

「ありがとうございます」

と、ほっとした声色で花京院は言った。

「礼には及ばねえぜ」

承太郎は花京院の方を見遣り口角を上げて言った。
それからすたすたと去ってしまった彼を知りたいと思った花京院は学校で空条承太郎という名前、一学年先輩、昼休みは屋上にいる、などという事を知り、情報の通りに昼休みに屋上に押しかけて話している内に意気投合し仲良くなり
それから登下校を共にしたり休日に遊ぶような友達になった、という訳だ。
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