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□病気?
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「いや…でも僕達は同性じゃあないか?」

僕は話しながら手にしっとりと汗が出てきた感触を感じる。

「‥同性愛者ってのもいる」

‥‥同性愛者‥…つまりはそういうことなのだろう。
僕はそういう人間だったのである。

そうか…僕は承太郎の事が好きなのだ。
自分でこの気持ちを認めると、不思議とストンと落ち着いた気持ちになった。

「‥で、俺はどうすればいいんだ」

何が、とは訊かなかった。僕の気持ちに対する応えのこと、というのは解っている。
つまりは、承太郎の応え次第では僕は友達という今の関係以上になったり以下になったり出来るというわけだ。
もし、応えを訊いて以下になるぐらいなら今のやり取りは無かった事にして前までの様に友達のままでいいと思う。
というか、承太郎はきっと同性愛者というものでは無いだろう。

「そうだね‥応えは訊かないことにするよ。僕は今のままでいいんだ」

今の言葉に嘘偽りは無い。
僕は友達として、承太郎の近くに居れるだけでいいんだ。

「…俺が好きと言ってもか」




…聞き間違いだろうか。今承太郎は好きと言った‥と思う。
好き‥‥と
好き‥
…え‥?
僕は承太郎の言った言葉が理解できずに数秒固まっていた。そうして、なんとか首を動かして承太郎を見ると、僕をしっかり見ていた。
さらり。と、風が僕や帽子で押さえられていない僅かに見える承太郎の髪の毛を撫でる。

「好きだ。花京院」

今度こそ、しっかり聞こえた。
承太郎が僕の事を、好いてくれている。
僕はそれがたまらなく嬉しくて、
恋と解ってから初めて、承太郎の事を愛おしいと思った。
今まで幾度かこの気持ちになった事がある。
そうか。この気持ちは愛おしいという気持ちだったのか。

「‥言っておくが、俺の方が先だぜ」
「何が?」
「…‥‥‥‥好きになったのが」
「‥ふふ、ありがとう」

僕はにこりと微笑んだ。
好きな人に好きと言われる。これほど幸せなことは他には無いかもしれない。
僕と承太郎はどちらからともなく唇が触れ合うだけの優しい口づけを交わした。

僕は、病気は病気でもどうやら恋の病気を患ってしまったようだ。
さっき知ってしまったこの感情を、
大事に、大切に、育てていこうと思った。


fin
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