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□クッキー
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昼休み────


花京院が屋上への階段を早足で駆け上がり戸を開くとそこには既に承太郎が壁にもたれ掛かって花京院を待っていた。

「すみません。お待たせしました」

早足で登ってきたためか少し息が上がっている。
花京院が来たのを知った承太郎は少し顔を上げた。

「承太郎先輩、今日はある物を持ってきたんです」

花京院はにこにこしながら承太郎に告げた。

「ある物?」

承太郎の疑問に応えるかのようにそっと承太郎の手の上に小さな袋の包を乗せる。

「開けてみてください」

指示に促されるように承太郎は包を解いていき、中を覗くとふわりと甘い匂いが漂う。

「…クッキーか」

承太郎は呟き、一つ手に取る。黄色と茶色のチェックのクッキーがまた仄かに甘い香りを周囲に漂わせる。

「僕が作ったんですよ。承太郎先輩のために」

「‥俺に?」

「はい。一月前、助けて頂いたのにお礼らしい事をしてませんでしたから‥」

きょとんとしている承太郎に少し照れ、はにかみながら応えていく花京院。

「先輩のために甘さ控えめで作りましたよ」

ひとつ、食べてみてください と付け加えて承太郎に言葉を発する。
承太郎は手に取っているクッキーを口の中へ放り込み味を噛みしめるように咀嚼し、ゆっくりと飲み込んだ。

「うめえぜ」

「本当ですか!?良かったです‥」

承太郎の言葉にへらりと微笑う花京院。
作ってよかったと心底思っていた。
そして、数分もしない内に全て平らげてしまった。

「お粗末さまでした」

「俺も何か礼をしなきゃあいけねえなあ」

「えっ!そんなことしなくて良いですよ。これは助けて頂いた時の分ですから」

花京院を片目に、承太郎は考える。
そして、閃いたように花京院を近くに呼び寄せる。

「な‥なんですか‥?」

「いいから黙って眼を閉じろ」

花京院は不安になったが、
承太郎に気押されし、おずおずと眼を閉じた。



ちゅっ…



花京院は自分が何をされているのか数秒間解らなかった。恐る恐る眼を開けると近くに承太郎の顔があり、承太郎のぽってりとした唇と自分の唇が重なっていた。

「ッッ!!!!!///」

驚いた花京院は後ろへと飛び、今の状況を理解した。
口元を手で覆い耳まで顔を真っ赤に紅潮させていた。

承太郎は花京院を見るなり

「愛してる、花京院。これが俺の礼だぜ」

といい、自身の下唇をぺろりと舐め、ニヤリと笑った。
承太郎はそのまま立ち上がると、花京院の隣を通り過ぎる。

「てめえの唇、美味かったぜ」

そう言い残して、戸を開き屋上を後にした。

「〜〜〜〜〜ッ!!」

花京院は予鈴がなるまでその場から動けずにいた。
この後に花京院が承太郎への想いに気付き、付き合うのは……また別の話。



fin


オチがおかしいのですが、もう頭が回りませんでした。。ww
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