短編
□好きな子
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次の日。
私は、昨日と同じ場所にいる詩紀のもとに駆け寄ると、
「ばーか!」
と言って、その場を去った。
詩紀は、なにも言わなかった。
次の日。
また同じように、詩紀のいるところまで走っていき、
「ばーーか!」
と言って、その場を去った。
やっぱり詩紀は、なにも言わなかった。
その次の日も、またその次の日も、詩紀のもとにいっては、子供っぽい意地悪を言ったり、やったりしたが、それでもやっぱり、彼女はなにも言わないし、表情ひとつ変えなかった。
それが、気にくわなかった。
そんな変化のない日常が、しばらく続いた。