短編
□癒やされたい、君に
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暗い雰囲気の斜堂先生の話が終わり、委員会決めをすることになった。
委員会は九つあり、自由に決められるわけではないらしい。
くじ引きで決まると言っていたので、もしかしたらクラスメイトと同じ委員会になれるかもしれない。
詩紀は、期待しながら、くじを引いた。
「……学級委員長委員会?」
あれ、
これって…
「わぁ、詩紀くん、すごいね、学級委員長かぁ」
学級委員長委員会って…
クラスに一人じゃ…
「あ、はは……頑張る、ね…」
詩紀は、もうすでに挫けそうだった。
さっそく、今日の放課後に委員会の顔合わせがあるらしく、詩紀はとぼとぼ学級委員長委員会の部屋に向かっていた。
足取りは重いが、確実に進んでいるので、気がついたらもう部屋の前だった。
詩紀は、深呼吸を何度かして、部屋の引き戸に手をかけようとした。
すると、戸がひとりでに開いて、詩紀は思わずしりもちをついた。
「あっ…もしかして…」
戸の向こうに、不思議な髪の毛の先輩が立っていて、どうやら彼が戸を開けたようだ。
詩紀を見て、驚きの表情をしていた。
「学級委員長委員会の新入生!?」
ぐっと詰め寄って来たので、詩紀は必死に頷いた。
すると、その先輩はとても嬉しそうに笑って、詩紀を軽々と抱き上げた。
「やったぁ!一年生だぁ!」
「ぅ、わわっ…」
「すっごく可愛いし!わーい!」
子供みたいに喜ぶ先輩は、詩紀に頬ずりした。
そして、抱き上げたまま部屋の中に入って、詩紀をあぐらをした中に座らせた。
後ろから抱き締められている状態の詩紀は、恥ずかしくてうつむいた。
すると、襖が開いて、誰かが入ってきた。
「勘右衛門、しんにゅうせ……」
「あ、三郎」
入ってきたのは、先輩と一年生二人だった。
そして、その一年生二人のうち、一人は見知った顔で、詩紀は安心して、ふにゃーっと笑った。
「っ…勘右衛門、嬉しそうだな」
「そりゃあね!というか、後ろの二人も、もしかして…」
「あぁ、そうだ。お茶でも飲みながら、自己紹介するか」
「そうだね!」
そう言って、詩紀をあぐらから降ろして、勘右衛門と呼ばれた先輩は、押し入れを漁り始めた。
そして、三郎と呼ばれた先輩は、お茶をもらってくると言って、部屋を出て行った。
詩紀は、一年生二人に近寄って、見知った彼に話しかけた。
「い、一緒の、委員会だ、ねっ、くろ、きくんっ」
「うん。そうだね、詩紀と一緒なんて嬉しいよ」
「よ、よろしく、ねっ…あっ…わ、ワタシ、一年、ろ組の、三山詩紀…よろしく、ね」
詩紀は、庄左ヱ門の横に座る少年に、つっかえながらも話しかけた。
すると、少年は緊張しつつも、嬉しそうに返事をしてくれた。
「うん、僕は、一年い組の今福彦四郎。よろしく」
三人で楽しく?話していると、先輩方の用意が終わったようだった。