短編
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実習の内容は、裏山の至るところに隠した巻物を見つけ出し、それを裏々山の山頂の先生に持って行くというものだ。
ところどころに罠が仕掛けてあったり、一学年上の五年生が邪魔をしに来るので、充分に注意しなければならない。
詩紀と小平太は、とりあえず身を隠せる草陰に座り込み、裏山の地形を地面に書いた。
小平太は、毎日のように裏山に鍛錬しにきているから、その辺に詳しいのだ。
「もう少し進んだところは、五年生と鉢合わせになったら、不利になるから通らない方がいい」
「へぇ、七松くん、詳しいね」
「ま、毎日、来てるから…」
「じゃあ、七松くんだったら、巻物をどこに隠す?」
詩紀は、真剣な眼差しで小平太を見つめた。
くのたまといえば、忍たまの話なんて、あまり聞いてくれないから、小平太にとって、やはり詩紀は特別に感じた。
小平太は、地面に書いた地図の怪しいと思う場所を指差した。
「私なら、ここか、ここに隠す」
「そっか、じゃあ、とりあえず、そのどっちかに行って、なかったらもう一方に行ってみようよ」
「うん」
「案内、してくれるかな」
「うんっ」
小平太は、詩紀に頼られていることが嬉しくて、大きな声をあげそうになったが、抑えた。
そして、静かに、なおかつ素早く目的の場所に向かった。