短編

□爆発的胸complex
1ページ/6ページ



くのたま六年生の詩紀には、ひとつコンプレックスがある。

それは、自分の大きい胸だ。

二年生までは、まわりのくのたまと同じくらいの大きさだったのだが、三年生、四年生と学年が上がるごとに、胸が急成長していった。

六年生になった今では、くのたま一の巨乳と言われている、もちろんくのたまのあいだで。

詩紀は、その大きい胸をあまり好きになれずに、普段はさらしをきつく巻いて、胸をぺったんこにしている。
そのため、くのたま以外は、詩紀の本来の胸の大きさを知らない。


「もったいないわよねぇ…その胸」

「そんなことないよ…」

「まあ、胸が小さい子からしたら、その胸はうらやましいんだろうけど、詩紀からしたら、嫌なのよね」

「う、うん…」


詩紀は、うつむいて憂鬱そうな顔をした。

実は、今週末に、忍たまをデートに誘い、なにかを奢らせる実習がある。

しかも、話したことのない忍たまでなければいけない。

男子と話すのが苦手な詩紀は、それが憂鬱でたまらないのだ。


「どうしよう…実習…」

「…そういえば、忍たまの六年生に、巨乳大好きなやつがいるらしいわよ」

「えー…誰それ…」

「七松小平太よ」

「…無理無理!怖い!」


名前しか知らないけれど、風の噂では、暴君というあだながついており、とてもじゃないが、女の子を気遣うなんてしない、らしい。

そんな人と、デートなんて怖くて出来るわけがない、と思った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ