短編
□爆発的胸complex
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くのたま六年生の詩紀には、ひとつコンプレックスがある。
それは、自分の大きい胸だ。
二年生までは、まわりのくのたまと同じくらいの大きさだったのだが、三年生、四年生と学年が上がるごとに、胸が急成長していった。
六年生になった今では、くのたま一の巨乳と言われている、もちろんくのたまのあいだで。
詩紀は、その大きい胸をあまり好きになれずに、普段はさらしをきつく巻いて、胸をぺったんこにしている。
そのため、くのたま以外は、詩紀の本来の胸の大きさを知らない。
「もったいないわよねぇ…その胸」
「そんなことないよ…」
「まあ、胸が小さい子からしたら、その胸はうらやましいんだろうけど、詩紀からしたら、嫌なのよね」
「う、うん…」
詩紀は、うつむいて憂鬱そうな顔をした。
実は、今週末に、忍たまをデートに誘い、なにかを奢らせる実習がある。
しかも、話したことのない忍たまでなければいけない。
男子と話すのが苦手な詩紀は、それが憂鬱でたまらないのだ。
「どうしよう…実習…」
「…そういえば、忍たまの六年生に、巨乳大好きなやつがいるらしいわよ」
「えー…誰それ…」
「七松小平太よ」
「…無理無理!怖い!」
名前しか知らないけれど、風の噂では、暴君というあだながついており、とてもじゃないが、女の子を気遣うなんてしない、らしい。
そんな人と、デートなんて怖くて出来るわけがない、と思った。