短編
□雨の憂鬱少女
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雨の降る夜は、なぜかいつも気持ちがざわついてしまう。
不安になって、目も閉じれなくて、どうしようもなくなってしまう。
詩紀は、小さい頃から、そうだった。
原因は、わからない。
ただ、そういう日は、睡眠薬や精神安定剤を飲み、無理やり眠りにつく。
そうすると、いつも同じ夢を見る。
やはり、その夢でも雨が降っていて、詩紀は地面に倒れている人を抱えながら、呆然とその人を見ている夢。
倒れている人の顔は見えなくて、ただ口が動いているのが見えて、詩紀はその人に泣いてすがる夢。
朝、目が覚めると、必ず泣いているのは、そのせいなのか。
とにかく、詩紀は雨が嫌いだった。