短編
□一番がいい
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会話文多め
勘右衛門に頂かれたあと、二人は勘右衛門の部屋の布団で横になっていた。
「……私の一番を食べるって、こういうことだったんですか…」
「あれ?どういう意味だと思ったのさ」
「あの…私が作ったお菓子を一番に食べたいんだと…」
「そういう意味もあったけど、詩紀ちゃんがあんまりにも可愛いこと言うもんだから、こういう意味だと思っちゃったよ」
「うう…恥ずかしい…」
「可愛かったよー、いやぁ、まさか初めてを頂けるとはなぁ」
「言わないでください…」
「好きな子の初めてだよ?嬉しくもなるって」
「……えっ」
「え?」
「すす、すき…?」
「……気づいてなかったの?」
「言ってくれなきゃわかんないですよ!」
「そっかぁ、じゃあ、あらためて…俺、詩紀が大好きだよ」
「………」
「詩紀は?」
「きゅ、きゅうに呼び捨ては、ずるいです……私も、好きです、勘右衛門先輩」
勘右衛門は、詩紀を思い切り抱き締めた。
「…確かに、急に呼び方変えるの、ずるいや」
そう言ってほのかに顔を赤くする勘右衛門は、なにか言いたげな詩紀の唇を自分のそれで塞いで、二人はゆっくりと目を閉じた。
終わり