長編
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翌日、いつもより早く起きた霧花は、顔を洗い、着物に着替えた。
すると、着替える音で鑪がのそりと起きた。
「…きりか…おはよ…」
「うん、おはよう、鑪」
目をこすり、眠たそうな鑪に、霧花はもう少し寝ているように提案したが、彼女は首を振って、顔を洗いに行った。
部屋に戻って来た時には、すっかり目が覚めたようで、いつものしっかり者の鑪になっていた。
「霧花は今日、課題なんだったわね…」
「うん…だから、なるべく早く準備しておきたくて…」
「…仕方ないから、私も手伝ってあげる」
「ほんと?ありがとう…私、こういうの苦手だから…鑪が手伝ってくれると、百人力だよ」
安心したように微笑む霧花を見て、鑪はそのかわり、と付け足した。
「次の休みは…私の買い物に付き合ってよね」
「!!うん!」
霧花は、心底嬉しそうに笑って頷いた。
そんな彼女を見て、鑪は妹を見ているような気分になった。
――これだから、霧花は放っておけないのよ。
もともと、妹の気質がある霧花と、姉の気質がある鑪は相性が良かった。
「さ、朝ご飯食べに行きましょ」
「うん」
朝食を食べ終えた2人は、部屋に戻ると、化粧道具を取り出した。
鑪が、霧花に化粧を施すことで、あっという間に終わった。
そして、髪の毛も結ってやると、霧花は小さく微笑んだ。
「何から何まで…ありがとうね、鑪」
「別に…いいのよ。私がしたくてしてるんだし」
もともと顔は整っているので、化粧をすれば様になる霧花だが、彼女自体、化粧は得意でなかった。
いつもより女らしくなった霧花は、待ち合わせに遅れないように、鑪にもう一度感謝の気持ちを伝えてから裏門に向かった。
裏門まで小走りで行くと、もうすでに喜八郎が来ていた。
「おはようございます……ごめんなさい、遅れました…」
申し訳なくなって謝罪する霧花の頭に、なにかが優しく乗った。
それは、喜八郎の手だった。
「別に時間に遅れたわけじゃないんだから、謝んなくていいよ」
「で、でも…」
「いいったらいいの…おはよう」
「…はい」
マイペースな彼にたじたじしながらも、2人は裏門から忍術学園を出た。
その際、忍術学園のサイドワインダーが走り寄ってきたのは、言うまでもない。