長編
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真っ赤な夕日が沈み出す夕方のことだ。
部屋にひとりの霧花は、お腹から鳴る音に困っていた。
今は誰もいないからいいものの、聞かれたら恥ずかしすぎて、布団に潜り込むところだった。
いまだにぐぅぐぅ鳴るお腹を押さえながら、天井を見上げた。
もう、ここの天井を何度見たことか。
早く、自分の部屋に戻りたいなぁと思うと、悲しくなってしまった。
ホームシックならぬ、ルームシックだ。
忍たまの先輩方や、喜八郎、滝夜叉丸は優しいが、それでも鑪のいるあの部屋に戻りたくなった。
霧花は、ほぼ無意識に、布団から這い出て障子に手をかけていた。
その時、障子がすっと開いた。
そこには、夕飯を持った鑪がいて、驚いたようにこちらを見ていた。
霧花は、鑪の姿に安心したように笑った。