短編
□振り返った君の顔は紅かった
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三山くんに、恋してから、私は少しでも可愛くなりたくて、いろいろ頑張った。
なれない化粧を練習したり、髪の手入れをしたり。
でも、どれも自分らしくなくて、止めてしまった。
どうせ、好きになってもらうなら、ありのままの私を好きになってほしいから。
着飾った私より、いつもの私を。
そんなこんなで、冬休み前の期末テストがやってきた。
私は、勉強が好きじゃないし、得意でもないから、案の定赤点を取ってしまった。
確か、四教科くらい、赤点だったような気がする。
赤点を取った生徒は、職員室に呼ばれているので、私は放課後に職員室に行った。
職員室には、何人かの生徒がいて、みんな赤点組だろうと思った。
「お、来たな、七松」
「はぁい」
「あとは…三山だけだな」
「えっ」
先生の言葉に、胸がドキッとした。
三山って…もしかして、三山くん?
ドキドキしながら、待っていると、職員室に誰かが入ってきた。
「失礼します」
やっぱり、三山くんだった。
「よし、三山も来たな。じゃあ、予想はついているだろうが――」
先生の言っていたことを要約すると、つまり赤点組は、冬休み中に学校に来て補習授業を受けるというものだった。
前の私なら、ただ面倒くさいと思っただけだっただろうけど、今の私は、冬休みにも三山くんに会えるっていうだけで、舞い上がりそうだった。
なにより、私のクラスの赤点組は、私と三山くんだけだったし。