短編

□振り返った君の顔は紅かった
2ページ/6ページ



三山くんに、恋してから、私は少しでも可愛くなりたくて、いろいろ頑張った。

なれない化粧を練習したり、髪の手入れをしたり。

でも、どれも自分らしくなくて、止めてしまった。

どうせ、好きになってもらうなら、ありのままの私を好きになってほしいから。

着飾った私より、いつもの私を。

そんなこんなで、冬休み前の期末テストがやってきた。

私は、勉強が好きじゃないし、得意でもないから、案の定赤点を取ってしまった。

確か、四教科くらい、赤点だったような気がする。

赤点を取った生徒は、職員室に呼ばれているので、私は放課後に職員室に行った。

職員室には、何人かの生徒がいて、みんな赤点組だろうと思った。


「お、来たな、七松」

「はぁい」

「あとは…三山だけだな」

「えっ」


先生の言葉に、胸がドキッとした。

三山って…もしかして、三山くん?

ドキドキしながら、待っていると、職員室に誰かが入ってきた。


「失礼します」


やっぱり、三山くんだった。


「よし、三山も来たな。じゃあ、予想はついているだろうが――」


先生の言っていたことを要約すると、つまり赤点組は、冬休み中に学校に来て補習授業を受けるというものだった。

前の私なら、ただ面倒くさいと思っただけだっただろうけど、今の私は、冬休みにも三山くんに会えるっていうだけで、舞い上がりそうだった。

なにより、私のクラスの赤点組は、私と三山くんだけだったし。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ