神の子ども達


□第8話
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 ヴェルダンでの戦いから二ヶ月余り――

 グランベルからエバンスに派遣され新たな城主に任命されたシグルドは、直属の部下の精鋭部隊だけを共に留まらせて残りをシアルフィへ帰還させていた。
 元々、主が不在の城を預かっていたのだ。放ったらかしにしておく訳にはいかない。
 彼が手元に置くことを選んだ部下はノイッシュとアレク、そして重騎士であるアーダンを始めとした若い世代の者達だった。アグストリアとも程近いこの地での経験が、彼らにとって良き糧になるだろうと踏んでの人選だ。

 ヴェルダンではジャムカが正式に王位を継ぎ、復興に向けて縦横無尽に駆け回っていると聞く。
 見張りと牽制の為に置かれたシグルドの軍はその役割を果たすまでも無いまま、束の間の平穏な日々が送られていた。

 シグルドはディアドラを妻に迎えると同時に、ルミナスのことも自身の養子として受け入れてくれた。今やルミナスはシアルフィの公女という立場に在る。
 ささやかな結婚式を挙げた二人は本当に幸せそうで、胸の内に“声”を燻らせるルミナスとしては喜びと疑念の複雑な思いが混ざりあう。
 それでも、ディアドラの意志とシグルドの誓いを信じると決めた。
 だから今は見守ろう。二人の行く末を。
 そしてその中で、自分に出来ることを。

 エバンスの城中は、その日も平和で。
 平和……だったのだ。それまでは……――
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