守りたい 第四部
□第98話
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ふぅ……少し買いすぎちゃったかしら? 特売日ってついつい余計なものにまで手が伸びてしまうのよね。
でもまぁ、育ち盛りの秀くんも居るし。何をしているのか知らないけど、秀一も最近はやけに体力を消耗してることが多いみたいでいつになくよく食べるし。
このくらい買っておいても、きっと大丈夫よね。
……あら?
家の前に誰か立ってるわ。どなたかしら?
「畑中志保利さん、ですね?」
「ええ、そうですけど……貴女は?」
「……秀一さんの知り合いの者です」
「秀一? えぇっと……?」
「お兄様の方の」
あらあら、秀一に女の子のお友達なんて……優梨ちゃん以外にもそんな子がいたのね。ちょっと予想外だったわ。
色白な子ねぇ。色素が薄いというか……髪もあまり見ない色だし、かといって染めている風にも見えないし……こういう色、亜麻色って言うのよね?
あ、ひょっとして外人さんなのかしら?
あぁ、そういえば。前に一度だけ連れてきた女の子が他にもいたわね。確か桑原くんの家でホームステイしてる……ユキナちゃん、と言ったかしら? あの子も外人さんみたいだったわ。
まぁまぁ。秀一ったら、いつの間にそんな国際的になったのかしら。本当にあの子は……私の知らない所で何をしているんだか。
「秀一はまだ学校です。今日は部活だから、六時くらいになると思いますが」
「存じておりますわ。今日は貴女に用があって参りましたの」
「私に?」
……あら? なにかしら……
なんだか急に眠気が……
それに、良いニオイ……
「ご心配無く。体に害はありません」
……――、ぁ……――
「おやすみなさい。良い夢を……」
――……ふつり。
畑中志保利の意識は、そこで途切れた。