企画小説
□神の舌?
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【神の舌?】
「カズくんに質問です」
「……何だよ、藪から棒に」
「食事の種類は何が好き?」
「ンなモン和食に決まってんだろ。鯛の尾頭付きだろ〜」
「あ、一緒だ。私もどっちかって言うと和食党」
「ま、和食以外でも何でも食うけどな。食い物にケチ付けるなんて罰当たりだぜ」
「おぉっ、さすが男の中の漢! わかってるね〜同感だよ」
「で、そんな女の中の漢はなんだって図書館まで来て料理本開いてんだ?」
「女の中の漢って何さ。人のコト何だと思ってんの?」
「まぁ良いじゃねぇか」
「……まぁ良いけど」
(良いのかよ!?)
「実は煙鬼オジサマから依頼されてね。人間界の食事が魔界でわりと好評だから、財源確保の為に新政府公認の食堂でも開いてみようかって話なの」
「……なんか俗世にまみれてくな魔界」
「親近感湧くでしょ。でもさ、その話を聞いたぴぃちゃんがやたらあーだこーだ口挟んできてね」
「アイツ味にうるさいのか?」
「意外と好き嫌いあるんだよ」
「だからチビなんだな」
「わかった、カズくんがそう言ってたって伝えとく」
「ヤメロ!」
「注文が多いからメニューどうしようかなぁって悩んでて……」
「アンタも妥協しないタイプだもんな。本とにらめっこするより、ちょっとイイ店で食ってみた方が参考になるんじゃね?」
「あ、それ良いかも。じゃあ久しぶりに“赤椿”にでも行ってみようかな」
「はあ!? “赤椿”ってまさか……超一流料亭の!?」
「そうそう。野菜中心の京懐石」
「いやそこまで知らねぇけど! なにアンタ、そんな所にまでコネあんのかよ?」
「お祖母さまが入院する前はたまに連れて行かれたよ。他の店もいっぱい。子供の頃から食事マナーは強制的に覚えさせられてた」
「…………」
「まぁ、おかげで料理に興味が持てたんだけどね。そっかそっか、それじゃ料理長に連絡してみよっと」
――(……アンタが味覚のレベル落とせば、飛影の審査くらい通るんじゃね?)
「カズくんも一緒に行く?」
「ンな金あるかよッ!」