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□秋の花言葉シリーズ
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最近、ゼンの様子がおかしい。

もちろん、いつも通り(サボりつつ)仕事はするし、(城を抜け出して)視察にも行く。

職務に関しては全くもって問題ない・・・とは言えないが、まぁ、いつも通りなのだ。

だが落ち着きがない。かと思えば上の空でぼーっと宙を見つめている。きっと俺や木々の声など聞こえてすらいないだろう。仕事に支障をきたすのも時間の問題かもしれない。

「木々、ゼンのこと、何か知らないか?」

そう尋ねると彼女はさも億劫そうに作業の手を止めた。

「なにが。」

「なにがって、明らかに様子がおかしいだろう。どうしたんだ?」

しかし木々は表情も変えず、言い放った。

「別に、いつもと変わらないと思うけど。」

「どこがだ!絶対におかしい!まさか、体調でも悪いのか⁉」

すると突然背後から声が掛けられた。

「そうですよ旦那。主人はとーっても重い病にかかってるんです。」

「オビ!」

よっこらせ、とオビが窓から入ってくる。ここ、何階だと思ってるんだ。いや、それよりも聞き捨てならない言葉が聞こえた。

「病⁉本当なのか?」

「ミツヒデは面倒臭いから、ややこしい言い回しするの、やめてくれない。」

木々が冷静に返す。
面倒臭いって、俺の扱いが酷くないか。たが、どうやら俺はオビにからかわれたらしい。

「で、本当のところは、何なんだ。」

「だから病ですってば。まぁ効く薬もないんで、後は当事者たちがどうにかするのを待つしかないんじゃないですかね。俺としては、とっても楽しみですよ。」

訳がわからない。大体オビが楽しみだなんて、ろくなことじゃない気がする。

頭の上に大量に疑問符を浮かべる俺を一瞥して、木々が深く、それはそれは深く溜息をついた。



よく分からないが、ゼン、無理するなよ。












最近、ハルの様子がおかしい。

仕事に関しては、(薬室長の分まで)書類をこなしているし、薬の調合も正確だ。最近では(薬室長の個人的な趣味で)薬膳茶の研究もしているらしい。

そう、薬剤師としては、(薬室長はともかく)ハルは完璧なのだ。

だが、やけにソワソワしていたり、かと思えばあらぬ方向をぼんやり見つめていたり。

同僚、兼、友人としては心配だ。

「リュウ、何か知りませんか?」

「白雪さん。なにが?」

リュウは調合の手を止めてこちらを向き、僅かに首を傾げた。

「ハルです。何だか最近、様子が・・・。」

するとリュウは少し考えた後、言った。

「今は、そっとしておいた方がいいと思う。多分おれや、白雪さんでも、力になれない。」

「その通り!リュウはよく分かってるわね。」

そう言いながら楽しそうに薬室長が話に入ってきた。

「ハル君はね、薬では治せない病を患ってるのよ。だから、私達は若い二人を面白おかしく見守っていてあげればいいの。」

「面白おかしく・・・?」

気になる言葉もあったが、何となく分かったような気がする。



頑張れ、ハル。













「彼女のことばかり考えてしまう・・・。あぁ、ハルに会いたい。今頃、何をしているんだろうか。」





「ゼン殿下のことが頭から離れない・・・。また、お話ししたいなぁ。今の時間は、仕事をしていらっしゃるんだろうか。」



1.秋海棠《片想い》


 

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