★ジゲフジの部屋
□宝の行方
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ロスのアジトを、例のあの女のせいで追われ、
なぜだかその女の要望でこの馬鹿高いホテルの最上階に部屋を取らされてしまった。
そもそもの原因は俺の相棒が女の言いなりだからではないだろうか・・・。
この計画が女のせいでまたダメになってしまったら、
このホテルの料金は誰の財布から出ると思っているのだろうか・・・。
計画が失敗するということはないだろう。
世紀の大泥棒ルパン三世の計画。銭形が邪魔しようが最終的には手に入るお宝だが、あの女のことだ。
きっとルパンに「私のこと愛してるなら、お宝ちょうだい」と甘えた声で言っているのだろう。
容易に想像がつく。想像がつくのに俺も五エ門も結局なんだかんだで手伝わされるんだ。
「あー・・・くそっ・・・」
五エ門は昨日から美味しい和食がないと言う理由で店探しに出たきり帰ってこない。
愚痴を言う相手もなく、一人部屋で飲んでいる。
当のルパンはというと、この前バーでナンパした若い女とデートだと言い、昼過ぎから出かけている。
あの女以外となら好きにしてくれて構わないから、あの女のいいなりになるのはいい加減止めてほしい。
カラッ・・・。ほとんど空になったグラスの中で、氷だけが音を立てていた。
バーボンのボトルの中身もいつの間にかなくなってきていた。
新しいボトルなら部屋のバーカウンターにいくらでもある。
わざわざ買いに行かなくてもいいのは、この部屋のおかげだろう。
もたれ掛かっていたソファからバーカウンターへ新しいボトルを取りに歩く。
新しいボトルからグラスに酒を注ぐと、あの女へのイライラもまた溢れてきた。