Dreams

□触れて欲しい、君だけに ♡
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『ねぇ……スカート、短すぎるんじゃない?』


不意にそう言った彼に、私は驚いた。
何か面白くなさそうな表情で、私のスカートの裾の辺りを見ている。

今どきの普通の女子高生がそれなりの制服の着こなしをした程度にしているつもり、特別に短くしている覚えはない。

「他の子も普通にこれくらいじゃないかな?」
『他の子のスカートの丈の長さなんて知らないけど。』
「じゃあなんで私のが短いって思うの?」

柄にも無く屁理屈のような事を言う彼にそう問うと、ほんの少し頬をふくらませて口ごもった。
部室の作業用デスクに片肘で頬杖をついて、浮かない表情で上目遣いに私を見ている。

「ねぇ、どうかした?」
『いや、別にどうもしてないんだけどね。』
「元気ないじゃない、急におかしな事言うし。私、なんか言った…!?」

子供みたいにいじけた表情のまま、小さく首を横に振る。こんな彼を見たのは初めてで、何を考えているのか全く分からない。

「じゃぁどうしたの? ……ねえ?」

問いつめながら幸村くんのシャツの肩の部分をつまんで引っ張ってみせた。

すると彼は急に立ち上がり、私の両肩を掴んで部室の壁に押し付ける。
眉目秀麗なその顔が切れ長の目で私をじっと睨み付けるような、だけどどこか寂しさを漂わせた、そんな表情で私の顔に近付く。

『君が悪いんじゃないんだけどね。』


「……んッ…」


次の瞬間私の口は塞がれてしまう。唇がもぎ取られてしまいそうな程、強引なキス。

「ん…っはぁ……っ、ゆきむらくん?!!」

私の呼びかけも無視して、幸村くんの右手は私の肩から、デコルテに沿って胸に持っていかれる。

少し恐かった。
触れられるのが恐いという訳ではなくて、彼が何を考えているのか分からないし、こんなに私情の様なものを剥き出しにする様な一面を見るのは初めてだから。

元よりここは部室、これ以上は本当にダメだ。私は幸村くんの肩を掴み思い切って自分から引き離したけれど、荒くなっている互いの呼吸は場違いにも高まってしまう感情を裏付けている。

「ほんと…どうしたの? いつもの幸村くんじゃないよ…?」
『…ごめん。君の事独り占めしたいって、そう思ったら空回りしてしまったみたいだ。』

にわかにしょんぼりした様な表情を見せて、小さくそうこぼした。

『あんな事がきっかけで、君への態度に表わしてしまうなんて、俺もまだまだ子供かな。』

何の事を言っているのかは分からないが、彼が感じている鬱々とした気持ちがその表情から伝わってくる。

『君をそういう目で見ているのは俺だけじゃないんだって、困惑してしまった。ただの視線だけでも、君に触れられるのは俺だけだって、そう思いたくて。』

右手で私の肩にそっと触れながらそう言った。
彼がこれ程に独占欲を見せるのは初めて。私はこの人に想われている、愛されているんだ、と感じると同時に、なんだか愛おしい。
『君は俺だけのもの』と、そんなキザな台詞を言われているようで少々舞い上がってしまう自分がいる。

「幸村くんだけだよ。決まってる。」

彼にどういう事があったのかは知らなくてもいい。
私があなたの事だけを想っているのは確かだから、私が触れて欲しいのはあなただけだから。私の気持ちを分かってもらえれば、それでいい。
絶対に私以外には見せないちょっと拗ねたようなその表情も、こんな場所ですごく唐突だけど私を求めてくれるようなその言葉も愛おしいから。

「幸村くんがしたいように私に触れて欲しい。」

幸村くんは少し驚いたような顔を見せた後、すぐにふっと口角を上げた。
いつもの優しい笑顔になったかと思ったけれど、どこか違う、悲しげに、少し甘えたような表情。

『独占欲に負けてこんな場所で君を求めてしまうなんて、なんだか情けないな。』

そんな事ない、嬉しいよ。そう伝える代わりに私は彼の手を軽く握った。

『だけど、君に甘えてしまってもいいのかな?』

ゆっくりと頷いてみせて彼の眼を真っ直ぐ見たけれど、やっぱり気恥ずかしくてすぐに目を逸らした。

私の背中は大きな掌にそっと抱かれ、部室の壁に押し付けられる。さっきとは違い、唇を軽く吸うような優しいキスの心地良さにうっとりしていたのも束の間、やがて舌が深く差し込まれる。
もっともっと、彼の温もりを私を求めてくれるその欲を、余す事無く独占したくて、自分の舌を積極的に絡めた。

幸村くんは片手で器用に私のネクタイを解くと、どこか逸っているかのような手つきでシャツのボタンを外していく。深いキスをしながら、右掌は私の右胸を完全に包み込む。
まるで自分からも誘うような事を言っておいて、場所が場所だけに戸惑いを隠せない。

「ここで…本当に?」

『したいように、って言ってくれたのは君だろう?』

口を尖らせながら、少しいじわるな目つきで私の顔を覗き込む。

『まぁもとより俺の我儘なんだから…、嫌だったら正直にそう言ってよね?』

嫌じゃない、むしろ…と思ってしまう自分もかなり欲深いのかもしれないが、ここは部室であり、何より誰かに見られていないか、むしろ部員が入ってくるのではないか、そんな状況に心臓が激しく高鳴っていた。
部室の入口をちらちらと気にする私を気に留める事もせずに、彼の手は私の制服のシャツと一緒にブラジャーの肩紐を下ろした。

『でも、もしも君が嫌だと言ったとしても、今日は、聞き入れられないけどね?』

露にさせられた私の胸を半ば荒々しく揉むその痛みさえ快感と捉えてしまう程、いつもは見せない強引な幸村くんの姿に興奮している自分がいた。

『いつもと場所が違うとさ、すっごく、興奮しない…?』

胸の膨らみの頂を、指で優しく愛撫される。
そこをくりくりといじめながら、耳元でやっと聞こえる程小さく、それでいてはっきりとした声でそう問いかける。吐息を混じらせた彼の甘い声が、鼓膜をぞくぞくと震わせる。

「ぁっ…ん…っ」

『しっ…』

思わず漏らしてしまった私の口に、幸村は人差し指を当てる。

『ここ、どこか分かってるよね?』


それはこちらが言いたい事!そう思いながら必死に、吐息と共に溢れ出しそうな声を抑えている私のその様子を見て楽しんでいるのか、ふふっと笑いながらも愛撫をやめてくれない。
もう片方の胸も彼の前に露にされてしまい、ブラジャーはホックが止まったまま、中途半端な位置まで下げられてしまう。
愛撫をやめないどころか、幸村くんの両手は下から持ち上げるように私の小さい胸を揉みしだきながら親指で乳首を転がす。

こんなところで…、いけないって分かっているのに彼の綺麗で器用な手が私の胸を可愛がってくれるのだから、どうしようもなく興奮する。

『君の可愛い鳴き声を本当はたっぷり聴きたいんだけど。今日は、おあずけかな?代わりに、その我慢してる表情…すごくそそられるからもっと見せて?』

私の敏感な部分は既に熱くなっているのが自分でもよく分かった。下着の上からそこを触られ、一気に体全体の体温が上昇する。
もう十分に、私の熱い液で満たされているであろう事が、下着の上からでもバレてしまったのであろう、長い指が下着の中へと入ってくる。

「んっ…ゃ…ぁっ…」

指で入口をなぞられては膨らみに触れる。その行き来だけで身体中に快感が走る。

『嫌だったら言って。なんて言う必要なかったみたいだね?』

耳元でそんな事を囁きながら、サディスティックに目を細める。
その目で私の顔をちらっと見ながら、じわりと溢れ出す私のその液を指ですくってぺろりと舐めてみせた。そしてその指を1本、2本と中へ挿入され、複数の指で掻き回される。

『こんな場所で感じてる君のエッチな身体が、すごく愛おしいな。…ふふっ、こんなに溢れてる。』

「んん…っ!…はぁっ…んぁあ!」

もう抑えきれない声を大きく漏らしてしまう私の口を塞ぐかのように、幸村の唇が私の両唇を覆った。

『隣の部屋、人いるからね…?ただでさえ、君のここ、こんなにいやらしい音を立てているのに。』

唇が軽く触れ合ったままの至近距離で、私を追いつめるかのようにそう言った。指が私の敏感な部分を弄るように行き来し、ぐちゅぐちゅと淫らな音が部室の片隅に響いている。
隣はサッカー部の部室であり、何名か部員がいるであろう、何を話しているかまでは聞き取れないが声が聞こえてくる。

『まぁ、隣の奴らに聞かせてあげてもいいんだけどね…?』

聞かれていい訳がない。しかしこの壁のすぐ向こうには人がいるのだから、本気で声を出すのを我慢しなくてはならなかった。

『冗談だよ。…君のこんな姿、こんないやらしい声、知っていいのは俺だけだから。』

いつもの甘く優しい声とは違い、静かな低い声でそう言って、ふふっと笑う。
左手で私の横髪をそっと耳に掛けると、段々と指の動きを速め、最も感じるその場所を容赦なく攻める。

「はぁっ、は…ぁっ…ん…っ…」

無意識に幸村くんの制服のシャツをくしゃくしゃと握ってしまう。声を出す事が出来ないもどかしさが、与えられる快感を増長させた。

『いい子だね…』

彼の左手はこんなに優しく頬を撫でてくれるのに、手加減を知らない右手は私のウィークポイントを容赦なく攻め込む。
まるで、普段の穏やかな彼と、テニスコートに立つ彼の二面性を象徴しているみたい、と頭の片隅でぼんやりと考えていた。

『こんなに感じてるのに鳴けないなんて、かわいそうだけど、今日は、我慢だよ?』

ぐ、ぐっと指に力が入ると同時に私も彼の指を締め付けると、全身がしびれるような快感に襲われる。
力が抜けて崩れ落ちそうになるのをこらえながら幸村くんの身体にしがみついた。

『達してしまった時の、君のその表情がすごく好き、興奮するな…』

スラックスのベルトにゆっくりと手を掛けながらちょっぴりあくどい微笑で目を見られれば背徳感すら彼に奪われて、私はこんな場所でこんなイケナイ事をしてしまう共犯者だ、なんて思いながら幸村くんの前に跪いた。
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