Dreams

□形勢逆転!? ♡
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『ねえ…ナースさん? 俺のここ、診てもらえませんか?』

パジャマ姿でベッドに腰掛ける精市のその眼の奥では、なにかとんでもなくアブノーマルな幻想が繰り広げられているのだろう。
怖いな…本当に。彼の迷妄に付き合わされるのは。
ただでさえ、こんな格好をさせられて彼の前に立っているという事象だけで、一体全体なんのお仕置きなのかと思うくらい、頭が狂いそうに恥ずかしいのに。

『ほんとに可愛いよ…?まだなんにもしてないのに、君のその姿見ているだけで俺のここ、こんなに反応してしまってる。』

そんな事を言われても今は精市のそこに目をやる余裕はないし、それよりもこのコスプレ用ナース服の死ぬ程短いスカート丈の方が気になって、ぐいぐいと裾をひっぱりたくなる。
それでもそんなに背の低くない私がこれを着て真っ直ぐに立つと、ワカメちゃんのように下着が裾から見えてしまう。

『ねえ、ナースさん?今日の下着、ピンクですか〜?』
「えっ…」
『だってナースさんがそんなに短いスカートはくから…見えちゃった、』
「も…!!ちょっと見ないで……っ」

精市はふふっと、目尻を下げて微笑む。
普段見せる優しい笑顔も、心の中で何かいやらしい事を企んでいそうなその笑顔も、一見全く同じに見えるから本当に怖い人だ。

ていうか…無理矢理着せたのはあなたでしょう!?私なんにも悪い事してないのに、こんなに恥ずかしい思いしなきゃいけないのなんて絶対間違ってる。

『ねえ…夜だからって、そんなにいやらしい恰好して、俺の事誘ってるんですか…?』

今の精市の表情は、悪だくみをはたらこうとする思春期の少年が、そのまま大人になったような危険な感じ、と言うか。
脚元から少しずつじっとりと、私の身体は精市の視線に舐めまわされ、最後に私の目を見てふっ、と微かに笑う。身体が蒸発してしまいそうなくらい、恥ずかしい。
だけど私のこんなに恥ずかしい姿を見て色香を増していく精市の表情に、今宵も惑わされる。

精市はいきなり、私の右腕をぐっと引っ張って自分の方へ引き寄せた。

「ひゃぁあっ!!」

バランスを取り損ねた私は、勢い余って精市をベッドの上に倒してしまい、彼に覆いかぶさるような体勢となってしまう。

『ふふ…たまにはこういうのもいいな…、君に押し倒されるって言うのも、ね?』
「い、いやいや、押し倒した訳じゃないし…ふ、不可抗力ですけど…」

慌ててベッドから逃げようとすると、力強い彼の手が背中に回り、上体を起こす事が出来なくなってしまった。

『行っちゃダメ。今夜は、つきっきりで俺の看病、してくれますよね…?』
「か、看病…?」
『うん、看病。』

あれ…、精市って、誰だっけ。役者さん…!?
そう戸惑ってしまう程に、綺麗なその瞳を潤ませて、私の顔を、少しも視線を逸らさずにじっ、と見つめる。

なにが『誘ってるんですか…?』よ、誘惑してるのはそっちじゃない。心惑わされてる事を自覚してしまったのがなんだか悔しくて、精市から目を逸らしてしまう。

『ねえ…、』

それでも小さく囁く彼のその声は、私がわざと眠らせていた本能を優しく呼び覚ましてしまう。

『キスして…、ナースさん?』

ナースに甘える患者になりきる余裕がある人よりも、体温もすごく高くて心拍数も尋常じゃなく多くなってる、私の方がよっぽど患者みたい。
そうやって、物欲しそうな表情で私にねだれば、すぐにその気になってしまう事、分かってるんでしょ?
その儚げな顔の裏に、いつもみたいなお得意のふっ、と不敵な笑みを隠しているんでしょう?

そこまで先回りして、分かっているのに。下手に強がってきゅっと結んでいた私の唇に、精市の綺麗な指先が触れる。

『欲しいな…』

欲しいなら、背中に回ったこの手を引き寄せて、抱きしめてキスしてくれたらいいのに。いつもならそうしてくれるじゃない。
だけど、仕掛けてる?私が、恥ずかしいと思う心も忘れて精市の事求めるのかどうか、試してるの?


…それなら私も見てみたくなっちゃったな、プライドを忘れてしまうくらい余裕のない精市の顔。


「お望みなら…、精市くんの理性も奪っちゃおうかな?」

唇が触れそうな距離でそう言うと、精市はその綺麗な顔を紅潮させて少し目を見開いた。

「あれ、顔が赤いよ?せーいちくん…?お熱、あるんじゃないの…?」
『熱…あるのかな…、どうしよう。すごく…熱いです…』

ナースと患者さんごっこに私がまさか乗ってくるとは思わなかった?精市がこんなに赤いりんごの様に頬を染めるところは見た事ない。

「お熱、はかりましょうね…?」

パジャマの上から精市の身体の火照りを感じる。おでこにそっと手を触れると、本当に熱を出しているみたいに熱い。
精市の口の中に舌を挿しこむ。温度計で熱をはかるように。

「んっ…ふ…っ、、精市のお口のなか…っ、あつい…」
『ナースさんだって…、すごく、舌が熱くて…気持ち…い…、んっ、はぁ…』

混ざり合った二人の唾液が口の端からこぼれ落ちそう。いつも精市がしてくれるみたいに上手くリード出来ないけれど、唇と唇の間から息をたくさん漏らしながら私の熱を求めて舌を伸ばしてくる精市がなんだかすごく可愛い。一晩中つきっきりで看病してあげたくなっちゃうな。

自分の胸を押し当てると感じる、すごく早くなっている精市の心拍数。

「んー…、すごく、…興奮してるね…?」

精市は興奮の顔色を隠すように少し目を逸らしたけれど、高鳴る心音は私の聴診器が全て感じ取っている。そっと人差し指を立てて、パジャマの上から精市の乳首をくるくると優しく愛撫してあげる。

『…っん…、ぁ…っそ、そこ…は…!』

綺麗な形をした眉を寄せて、顔を歪め、びくっと筋肉質なその肩を震わせる。
甘く切ない悩ましげな顔をしているこの患者は、素直に快感に浸っているのか、いや、『もっと、俺の事気持ちよくさせて見てよ?』って、畳み掛けているのか…分からないけれどそれはもうお構い無し。

いつの間にか私の方がほしいままに精市の唇に夢中になってしまいそうなくらい、深く、深くキスをしていた。

「いつもと顔色違うじゃない…?自信たっぷりなお顔は…、どこに行ったのかなぁ?」

ぺろりと最後の精市の唇を舐めると、呆気に取られたような顔をして、はぁ…はぁ…と肩を揺らす。

『はぁ…っ…俺だけしか見れない、ナースさんを見ちゃったな…ふふっ』
「あれ…、まだ、私の事ナースさんなんて言う余裕があるんだね…?」

汗でほんのり湿った額にもう一度触れて、前髪が濡れないように左右に掻き分ける。

「さっきより、熱が上がって来てるみたいだね…、大変…っ!…それに…」

さっきから精市の身体の中で最も充血しやすいその場所が心配で、ゆっくり手を伸ばす。

「血圧も、上がってるんじゃないかな…?ここ、すごく腫れてるからね?」
『…っ!!ぁ…、はぁ…っ』

痛い所を触られる時みたいに不安げな、だけど『早く触って、』そうせがんでいるような、欲心丸見えの目で私を見る精市。



ゆっくりベッドから降りて、ズボンを優しく降ろしたら、床に跪く。





「じゃぁこれから、お手当してあげますからね?」





真っ赤に腫れてしまった精市の患部をお口で優しく包み込む。








♡END♡
幸村くんは入院もしていたし、かごプリとかの影響もあって、ナースさんに憧れを抱いている説が私の中で濃厚だったので書いてみました。
ちょっとだけ、ナースさんにお世話されてみたいなぁなんて、思った事もあったでしょ!?ね!?幸村くん?と思いながら書きました。

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