Dreams
□少しずつ
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出来る限り、そっと触れたつもりだった。
だけど触れた君の肩にすごく力が入っているのが分かったんだ。
軽率だったかな。
君も俺を想ってくれているのかも、なんて、俺の勘違いかもしれないのに。
もっと近くで君を感じたい、俺の欲ばかりを前に出し過ぎて、君の気持ちも考えてなかったかもしれない。
なんて俺は馬鹿なんだろう。
『ごめん。本当にごめん。嫌…だったよね…?』
君は俺を上目遣いに見上げて、潤んだ瞳で俺の目を見た。
そしてすぐに目を逸らして、小さく小さく首を横に振ったのを、俺は見逃さなかった。
もう…俺の事これ以上、弄ばないで欲しいな。
おかげで、決心がついてしまったじゃないか。
俺は君の右手を両手でそっと持ち上げて、手の甲をそっと撫でるように包んだ。
少し戸惑っているような表情をしているけれど、どこか綻んでいる気がする。
少しずつ、少しずつでいいから、君に触れてもいいかな?
そんな気持ちを込めて、ゆっくり、手を腕から、肩へ、もう一度持って行った。
空気に触れるみたいに優しく。
いつでも、君が嫌だと感じたのなら振り払ってくれてもいいから。
だけどさっきよりも大分、肩の力が抜けている気がする。
少しは、許してくれたのだろうか?
「幸村くんの手、温かい…」
そう言ってくれた君の表情は、強張りも取れて、夢見心地のようなふんわりとした色。
『すごく、ドキドキしているからかな?』
自分の気持ちに素直にそう告げる。
君は長い睫毛をぱさぱささせて、まあるく可愛い瞳で俺の事を見るから。
もう、無理矢理奪いたくなってしまうんだよ。
ねぇ…
嫌って言ってくれないなら、もう…唇触れちゃうよ?
Chu♡