Dreams
□Sweet honey
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今日は朝から一通のメールも来ない。
朝練から始まる俺の学校生活は、テニス尽くし。下手したら昼休みまで打ち合わせでしかめっ面のチームメイトの顔を見ているばかりだし、この季節は放課後空が暗くなってもテニスコートに居る。
屋上庭園で、「あの2人お似合いだね〜!」なんて言いたそうな女の子達の視線を浴びながら君とわざと近く寄り添って話をしたり、
一つの机に二つの椅子で向き合って一緒にお弁当を広げてさ、俺が作った卵焼きを「ふわふわ!」って言いながら幸せそうに頬張る君を眺めている時間も最近は持ててないからいい加減、充電が切れてしまいそうだ。
[精市お疲れ様!レイアップって難しいね、全然歩幅が合わない(*_*)あ、体育のバスケの話だよ!笑 精市今度教えてよ〜!]
[お疲れ(^^)/ ん〜出来るのは出来るけど、俺の専門外だからなぁ…上手くは教えられないよ?きっと。でもお望みならマンツーマンしてあげようか(^^)]
[わ〜やった〜!!精市からテニスを教えてもらえる人はたくさん居ても、バスケを教えてもらえるのは私だけだよね♡!!]
昨日の休み時間のメールを見返して顔が緩む。会えない日はこれだけが楽しみだから。
授業中。ノートの白紙のページに俺の頭が勝手に描くのは君の事。
俺にしか見せない恥ずかしそうな表情、唇の柔らかくてぷにっとした感触、部屋に2人きりになった時にする事…。
集中しなきゃいけない時に限ってそういう事ばかり考え始めて止まらなくなって身体がじわじわと熱くなる。
最近そっちの方もご無沙汰だし、君不足が慢性化してるなぁ、なんて。
それにしても、こんなに一度も連絡くれないなんて、やっぱり体調でも悪いんじゃないのかな。気になる。そう言えば、そろそろ…アレの頃だっけ。
こんなになんでも把握したがるしつこい彼氏でごめんね。それでも許してくれるかい?
昼休みが始まるチャイムと同時に君の教室へ足が向いていたのは言うまでもない。君の顔が見たくて仕方ないから。
朝から一通のメールもくれなかった事を咎める気持ちなんかこれっぽっちも無い。とにかく笑顔が見たい。
俺の名前を呼んでくれる可愛い声が聞きたい。
教室を覗けば目に入るのは君が座る窓際の一席。ただそれだけ。だけどその席は空っぽ。心配は増していく。ああもう俺のハニーは一体どこに居るんだ。
「幸村くん、」
誰かにすごく近くで名前を呼ばれたので慌てて目線を下にやると、彼女といつも一緒に居る仲良しさんが心配そうに俺を見ていた。
「朝からお腹痛いみたいで…、今保健室で休んでるよ。」
俺が彼女に会いに来る以外にこの教室に来る目的が無いのは、この子にはお見通しだったみたいだな。
『そうか…。分かった、ありがとう。』
動揺を悟られない様に出来るだけ落ち着いたトーンでそう答えて俺は、身を翻して保健室へと足を急がせる。
やっぱりそうだったんだ。何で言ってくれなかったんだろう。
俺が心配して授業も出ずに保健室まで来てしまったらいけないから、とでも思ったのかい?寧ろ君の事を考えすぎて授業なんて放り投げていたも同然なのに。
もう、君を愛しているだけでこんなに心に苦労がかかっている。だけど、もっともっと俺に苦労かけて欲しい。もっと俺に寄りかかって欲しいのに。
制服のポケットの中で、彼女からのメールを受信する時だけ違うパターンのバイブレーションが鳴っている。
[精市お疲れ様(*^^*) 朝から生理痛がひどくて…保健室で薬もらって少し横になってたら大分良くなったよ、もう大丈夫だからね。連絡出来なくてごめんなさい(/_;)]
メールを開いた時俺は既に保健室の扉の前に居た。
この扉の向こうに君がいるなら早く、そう逸る気持ちで扉を開けた。幸い保健の先生は不在のようだ。
入り口から一番遠いベッドだけ仕切りカーテンが閉まっている。
カーテンの外から名前を呼んだら、 「精市!?」 ずっと聞きたかった俺の名前を呼ぶ可愛い君の声。
『開けていいかい?』
「うん…!」
カーテンを開けるとベッドにちょこんと座ってまあるい目でびっくりして俺を見ている君が居た。
「瞬間移動…!?」
『ふふっ、君に会いに飛んで来たよ。』
クスっとはにかんだ笑顔を見て安心して癒された。ベッドの中は温かかったのかな?頬は微かにピンク色に染まっている。
『顔色も大分いいみたいだね。良かった。もう、お腹は痛くないかい?』
温かく熱を持った彼女の頬を手で包み込むと、とろんとした目をしてこくり、俺の掌の中で小さな顔を頷かせた。
ベッドから出てきたばかりの君はブレザーとセーターを脱いだ姿。ネクタイもしていないから胸元から白い鎖骨が覗いていて目のやり場に困った。
ただでさえさっきまでそういう事を考えてしまっていたから、その無防備な姿は今の俺の本能に効きすぎる。
我慢できなくて、上靴を脱いで狭いベッドの上に君の体を押し倒した。ぎしっとパイプベッドのゆがむ音が誰もいない保健室に響いている。
「も…、っ精市…誰か来たらどうするの?」
『少しだけ…』
ああ、頭の中で思い描いていた夢の中の君が今こうして近くにいるなんて、あの夢の続きを今ここで…そういう欲が先立ってしまうな。
『…会いたかった。』
君に、触れたくて仕方なかった。
お昼ご飯を食べる時間だという事も忘れて君の唇にかぶりつき夢中でキスをする。
柔らかくてぷにっとした唇をはむっと啄ばんだり、ぺろっと舐めたり、甘くて美味しい感覚を味わっても味わっても満足しきれない。
思わず、綺麗な鎖骨に触れてしまえば俺の発情した右掌はそのまま膨らみを包んでしまいたくなる。
「ダメっ…ここ保健室だって、精市…」
『ちょっともう…、止められそうにない…かな、』
「えっ…!?ほんとにダメだって生理中…!」
『ふふ、冗談だよ。』
なんてバレバレな嘘をついているんだろう俺は。冗談じゃなくて本心なんだけど。これだけ密着してると、俺が興奮が大きくなっているのなんて隠せないからね。
でも君もそんなにとろんとした目をして。エッチの時俺に見せてくれる物欲しそうな表情と同じに見えるけど?
『ねえ、もし生理じゃなかったらここでしたい…?』
「え……ッ…!」
ビンゴかな…?耳まで真っ赤にして。そうやって恥じらいながらも俺の事欲しいって言ってくれる君が本当に可愛い。大好きだよ。
『ねえ、君がしたいと思う時って、どんな時?』
「えっ…」
『俺はね、いつでもしたい。いつでも君とのエッチな事想像してしまうよ。君の唇も、君の肌の感触も、思い出す度ゾクゾクする。…変かな?』
正直にそう話すと、君は相変わらず顔を真っ赤にして目を泳がせながら、ふるふると首を横に振った。
『ねえ君も、俺としたいって思ってくれてる?』
彼女の左手を取って俺の指を絡めた。恥ずかしそうに俺から目を逸らす顔は何度見ても、俺の雄の本能をくすぐる。
逃げられないように、頬に左手を添えた。真っ赤な顔からどんどん俺にも熱が伝わって来て、興奮は膨らむばかり。
『ねえ…?』
「わたしも………精市としたいよ。」
理性と戦うとはこういう事かな。
君の紅潮した肌と潤んだ瞳が放つフェロモンに性欲をそそられた、まるで蜜の香に誘われる蜂みたいな俺はお花のように可愛い君にチクチクと針を刺したくなる。
『俺と、何をしたいの?』
「へ…っ…!?」
『何を?俺としたいの?』
「もぅ…わかるでしょ!?」
『分からないから聞いてるんだろ?』
こうやって君の困り顔が見たくてわざと意地悪するのが好きだな。そんな俺の性癖に付き合わせてしまって本当に、君には苦労をかけているね。
『ねえ…?』
「…ん、もう…、……私も精市と、…エッチしたい…」
ああ…
シャイな君の口から精市とエッチしたいって聞けた。鼓膜から脳の奥までとろけてしまいそうだ。
無くなりかけていた充電が1000%まで回復したよ。
『ふふ、…今日は、いっぱいキスしようか。』
恥ずかしい事言わせないで!って言わんばかりに拗ねてる君の尖らせた唇が可愛いくて、たくさんたくさんキスをした。
俺のがいう事を聞かなくて大変な事になっているけれど、心が満たされたからそれで十分だ。
でも、君の調子も良くなったら、たくさん…しようね?
♡END♡
彼女の事気になっちゃったらそれしか見えなくなる発情期系幸村くんでした。【05DEC15】