Affectionate colors
□Act.00
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ルルーシュ・ランペルージ。
しかし、それは仮染の名前である。
真の名をルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
神聖ブリタニア帝国の元皇位継承権16位の皇子である。
「元」であるが…。
皇暦2009年、ルルーシュは妹のナナリーと共に日本に「留学」という形で訪れた。
しかしその「留学」には裏には裏がある。
母マリアンヌと、婚約者の両親が何者か殺され、妹ナナリーも襲撃にまきこまれた。彼女は後遺症により、視力と足の自由をうばわれた。
ブリタニア帝国では、強いもの、奪ったものが正義である。
母マリアンヌという後ろ盾を彼らは何の力もない子供でしかない。
そこで皇帝はルルーシュとナナリーの皇位継承権を剥奪し、人質として東国・日本へと送り込んだのだ。
元いた婚約者、腹違いの兄弟達、皇子としての自分とは離ればなれになってしまった。
日本へ来てからは誰の施しも受けず、自らの殻に閉じこもっていた。
父に言われた言葉が今でもだがルルーシュに深く突き刺さっていたのだ。
ーお前は、生きていない。
食事も服も住む場所も、すべて与えられたもの。
自分で得たものはひとつもない。
自分の力で手に入れることを知らない人間は、死んでいるのと同じだ。
その言葉がルルーシュの心に重くのしかかってからというもの、彼は齢10歳の子供にして、身の回りのこと、妹ナナリーのことはすべて自分でやっていた。
婚約者とは手紙のやり取りをしていたが、それ以外の話し相手と言ったら妹ナナリーだけであった。
そんな中で、彼は本当の「友達」というものを得た。
周りは信用できない中で、そいつだけは正直で、真っ直ぐだった。
日本に来ていい事などなかったが、彼に出会ったことは生涯の宝だと思う。
しかし、そんな幸せな日も長くは続かない。
皇暦2010年8月10日。
神聖ブリタニア帝国は、突如日本への侵攻を開始した。
日本へ人質として送り出された自分達は油断させるものでしかなかったのだ。