Long

□赤いあの人
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02







「サンジくん、ロビンも来たことだし着替えてきてよ。そろそろ出ないと集合時間に遅れちゃうわ。」

未だににらみ合いを続けているサンジさんにナミさんが声をかける
その声を聞いた瞬間に「はぁ〜い!」とハートが目に見える勢いで店の裏に入るもんだから、その場に居たみんなは呆れた目をしていた


「…あの、みなさんは知り合いなんですか?」

サンジさんが裏へ入って少し静かになったので、疑問に思っていたことを聞いてみる


「ええ、そうよ。高校の頃からちょっとね。」

ナミさんが笑いながら教えてくれた
その楽しそうな笑顔を見て、「みなさん、仲いいんですね」と言ったら、ローさんとキッドさんは顔をしかめた

それを見て、何か悪いことを言ってしまったのか、と顔を曇らせると、キッドさんが口を開いた

「別に仲がいいわけじゃねェ。敢えて言えば腐れ縁ってやつだ。」

それに続くようにローさんも「全くだ。」と同意する


そんな2人を見ながらロビンさんが笑って少し戸惑うわたしに説明をしてくれた


「そうね。そういう意味で言ったら、わたしとナミとサンジは仲良し、ね。でも、彼らはどちらかと言ったらライバル、だったかしら?」

「ライバル…?」

訳の分からない説明に頭を傾げる

「そう。トラ男くんともキッドとも学校違うのよ、わたしたち。でも、近かったから街で会うとよくケンカしてたの。だから、それなりにお互いのことは知っているわ。」


……それって、不良じゃ…

ロビンさんの話を聞いていて、そんな言葉がわたしの頭を過ったとき、裏からサンジさんが出て来た


「おっまたせぇ〜!!んじゃ、そろそろ行こうか、ナミさん、ロビンちゃん!!」

その様子を見て、わたしはまた苦笑を漏らす
今ので完全にさっきまでしていた話の流れが途切れた
まだ色々と聞きたかったけれど、まぁ、向こうにも予定があるわけだし、ってことでわたしも帰ることにする

みんなでカフェを出て、最後にサンジさんが戸締りをするのを見届けてから「お疲れさまでした。」と声をかける

「あぁ。お疲れ、紗良ちゃん。」

そう言って笑顔で返事を返してくれたサンジさんは、わたしの後ろに目をやるとそこに居たローさんとキッドさんに声をかける

「おい、てめぇら。俺はナミさんとロビンちゃんをエスコートしなきゃなんねぇ。だから、てめぇらがちゃんと紗良ちゃんを駅まで送り届けろよ。」

そのサンジさんの言葉にわたしは耳を疑った

冬で暗いと言えど、電灯はついているしまだ7時前だ
全然一人で帰れるし、今日話したばかりの人に迷惑はかけられない

そう思って、「大丈夫です。」と言おうとしたところを、ローさんに遮られた


「……まぁ、暗ぇしな。」

それだけ呟いたあとに少し黙って、ローさんがわたしを見た

「……俺とユースタス屋はこれから飲みに行くが、お前も来るか?」

「え……?」

まさかそんなことを言われるとは思っていなかったからちょっと間抜けな声が出てしまった
でも、突然のお誘いに驚いたのはわたしだけではなかったようだ
ナミさんもロビンさんサンジさんも、一緒に行くというキッドさんですら目を丸くしていた

一瞬シーンと静まった中、一番最初に口を開いたのはやっぱりサンジさんだった

「てめぇ、何考えてんだ?紗良ちゃんと飲むとか俺が許さねぇぞ。」

……わたしの父親ですか、サンジさんは。

そんなツッコミを入れたくなる反応にローさんは至って真顔で言葉を返す

「なんで、お前の許可がいんだよ。そもそも別にそいつが来たいなら来いって話だ。来ないなら店に行くがてら送ってく。」

そう言うと、ローさんはわたしの方に視線を向けた

「どうする?ユースタス屋の奢りだ。」

「は?ふざけんな。てめぇの分は出さねぇぞ、トラファルガー。」

またもやわたしが何か反応する前に、今度はキッドさんに遮られた
でも、そんなキッドさんの言葉を無視してまだローさんの目線はわたしの方にあった


なんだかんだ言って、結局は仲が良さそうな2人のやり取りを見て、楽しそうだから、という理由で「行ってもいいですか…?」と答える

その返事を聞いたローさんは口に弧を描くように笑ったあと、「あぁ、構わねぇ。だろ?ユースタス屋。」とキッドさんに目線を寄こす

「あぁ、俺も別にいいぜ。」

それになんてこともない様に答えるキッドさん
2人とも見てくれはちょっと怖いけど、きっと優しい人たちなんだろうな、って思う


そんな傍ら、何故か沈んでいるサンジさんがいた
その反応が娘を嫁に出すお父さんの様で
わたしの父親ですか、サンジさんは。
とまた言いたくなる


とりあえず、どうするかが決まったわたしたちはサンジさんたちとは別の方向に足を向ける

その後ろから「あ、ちょっと待て。」とサンジさんが声をかけて来た

「なんだよ。まだなんかあんのか?」

不機嫌さを隠さないローさんにサンジさんは「紗良ちゃんに酒は飲ますなよ。」と話す

それが聞こえたわたしは三度目の
わたしの父親ですか、サンジさんは。
という言葉を心の中で呟く


「それと……精々通報だけはされないよう気を付けんだな。」

そう言ったサンジさんの顔は先程とは打って変わって少し楽しそうだった

そんなサンジさんを怪訝そうにキッドさんが睨んで「…どういうことだよ」と聞き返す

サンジさんは眉間にシワが寄ったローさんとキッドさんを見返すと一息ついてから言った

「そりゃそうだろ。てめぇらみたいな悪人面が年頃の女子高生を飲みに連れていくなんてどう見ても危ねぇ奴だろ。」


…そうだろうか?とピンと来ないわたしだが、隣を見ると2人は「「は?」」と驚いている



「「……お前高校生なのか?」」

綺麗にそろった二人の驚いた声に少し身を小さくして「はい。」と頷いた




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