Long

□赤いあの人
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04







「それにしても結構頻繁に飲み会っていうのはあるんですね」

ローさんは先週も来週も飲み会があってさらには今日もキッドさんと飲んでいる
ほぼ毎週飲み会があればそりゃ出費は痛いわけだ

けれど、その言葉にローさんは軽く首を振った

「今月はたまたまだ。大体俺は月一で高校の仲間と飲むくらいだ。先週は合コンの頭数合わせに無理矢理連れてかれた。」

月一で会って飲むとは余程高校の仲間という人たちとは中がいいんだろう
そう言えば、ナミさんとサンジさんもロビンさんと一緒に高校の仲間と飲みに行くと言っていた
そのためにお店を早く閉めるくらいだからこちらも相当仲がいいんだろう

ちょっとその高校のときのことが気になって、聞いてみようかな、ってときに今度はキッドさんがローさんに絡み始めた

「…お前、彼女いるくせに合コンとか行くのかよ。」

「うるせぇな。無理矢理連れてかれたって言っただろ。鶏並みの頭だな。いや、一歩も歩いてない時点でお前の方がもっと馬鹿か。」

「あ"ぁ!?」

再び始まった言い争いに、もうわたしは特にケンカを止めることはせず、ジッとローさんの顔を見つめる

今日初めてあったし、別に考えても居なかったけれど、ローさんには恋人がいるんだ…
まぁ、大学生でその上怖めだけどイケメンだし当たり前か

そんなことをふと思いながら、頭の中に一人の女の人、ロビンさんが浮かんで来た

「……彼女ってロビンさんですか?」

特になんともなしに疑問を口にしたが、ローさんとキッドさんは予想外だったようで「「は?」」と口論をやめて頭を傾げる

「え、違うんですか?」

2人とも「あり得ねぇ」という顔をしていたので少し驚いた
だって、ロビンさんは美人さんで落ち着いた優しそうな人だ、っていうイメージでそんな顔をして否定される理由が分からないのだ

「違ぇよ。俺の好みとはかけ離れてる。」

眉間にシワを寄せたままローさんはそう言った


ローさんの好みなんて全く知らないからなんとも言えないが、少なくとも大学から出てくる3人の姿は他とは違う雰囲気を纏っていて素敵だったのを思い出す

そんなことを思いなが目の前に居る2人を見ていたら、突然どこからか電話の着信音が聞こえて来た

「……俺だ。」

そう言って携帯片手に立ち上がったのはローさんだった
ローさんは電話をするためにちょっと席を外す、と言ってどこかへ行った


噂の彼女さんだろうか…

なんてことを思いながらローさんが去った方に目をやっていると、前の席からの視線に気づいた
ジッとこちらを見るキッドさんに、今は2人きりだという事実が頭を占める

すると、先程までは気にならなかったキッドさんの少し怖いけど整った顔や逞しい体が目の前にあって、少しドキッと心臓が脈打つ


「あ、あの…」

無言もいけないと思って必死に話題を探すも、そう簡単に出て来てくれるものではない
そして、わたしは咄嗟に「キッドさんは彼女さんいるんですか?」と聞いていた

そう聞いたわたしの心臓はなぜかドキドキして、聞いたのはわたしなのに耳を塞ぎたくなった
なんとなく、「いる」という答えを聞きたくなくて


けれど、そんなわたしの心配をよそに、キッドさんは「いねぇよ。」とさらりと返した

その答えにホッとする反面、わたしはなぜこんなにも自分が動揺しているのか分からず、乱れる心を落ち着かせるためにもお茶を手に取った







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