DonQuixote Doflamingo

□迷い子
1ページ/2ページ


01.迷い込んだ世界








わたしが気が付いたとき、そこは港だった

ぼーっとした頭でハッキリと分かるのはわたしが気を失う前に港なんかに居た記憶はないということ
けれど、もし、それ以前にどこに居たかと聞かれれば答えられない


記憶がないのだ


うーん…記憶がないという言い方には語弊があるか。曖昧になっていると言った方が近い

自分の名前も生まれ育った場所も友人たちの名前、親の顔も分かる
ただ、その記憶が正しいのかと疑いたくなる現実

日本の東京。そこがわたしの居た場所で、今、目の前に広がる景色はゴロゴロとした大きな岩とまっすぐに広がる海

こんな綺麗な海は東京では絶対に見ることはできないだろう


……こんなところで迷子に…大変だ


東京ではないということはわたしはどこか旅行にでも来たのだろうか?

何か思い出せそうなのに思い出せない、なんかモヤモヤした気持ちになる
そんな気持ちを抱えながら何をするにもまずは情報が必要だ、とわたしは立ち上がった


「くしゅんっ……」


立ち上がると同時に、今まで岩陰にいて避けていた海風にあてられ小さいくしゃみが出た


「寒い…」


ブルッと身震いをしてから周りを見渡すと、最早、異世界と言った方がいい景色が広がっていた

港にはたくさんの大きな商船、それから隅の方には隠れるようにガイコツが目立つ黒旗を掲げる船があった


……は!?海賊とかいんの!?


この事実には少なからず興奮した

海賊と言えばずっと前から読んでいるマンガ『ONE PIECE』が頭をよぎる
だからと言って海賊に会いたいワケじゃないけど…
だって、ルフィたちみたいな海賊を期待して浮かれてたら絶対危ない目に合うもん…


でも…もし……
会えるなら、鷹の目のミホークに会いたいと切実に願う

これはマンガを読んでるときからの夢だった
理由はカッコいいからの一言に尽きる
雰囲気から醸し出る人を寄せ付けない感じ
その中の特別になれたらとどんなに思い描いたか

しかし、世の中そんなに甘くないし、簡単にトリップなんて出来てたまるか
現実を見ろ、紗良。


なんて思いながらも海賊に見つかると危ないから静かに素早く街の方へと行くことにした



街を目指して歩いていくと、しばらくしてから陽気な音楽や人の声が聞こえてきた
とりあえず、ここのことを聞こうと声のもとへと向かう

そして

そこで見たのは知らない場所だけど知っている光景だった。

目の前に人だかりができていて、その中心には目を惹くほどの美女が音楽に合わせて情熱的に踊り、
行き交う人を見れば、その中には動いてしゃべるおもちゃがいた

普通はあり得ないような光景だけど、わたしはそんなあり得ないことが起きる場所を知っていた…


…まじか。
トリップってほんとにできちゃうんですね…

だって、わたしの知っているこの国は、画面や紙という次元を越えた向こう側にあるはずのもの。


……夢か。そうだよな、夢ですよねー…ハハハ…

なんて思うも、この空気、ものに触った感じもなんかリアルすぎる
この世界以前に自分がおかしくなった気さえするこのリアリティー

なんとなく感覚的にだけど、ここはわたしの知っている世界でも夢の世界でもないということが分かった



……よし、こうなったら、ここがドレスローザってことでしばらく楽しむべきだよね!!

正直、困惑しているけれどわたしは自分に言い聞かせよう呟いた
それに自慢じゃないが、適応力はそれなりにある方だと思うし、帰れないと嘆くのも性に合わない


さて、ドレスローザに滞在することに決まれば、まず最優先にするべきことがある


それはもちろん、
ドンキホーテ・ドフラミンゴを見つけること!!


あのミホークと同じ七武海で裏と関わりの深い海賊。そして、現ドレスローザ国王。

だた、ドフラミンゴに近づくにはそれなりの危険が伴うわけだが…

でも、せっかくトリップしたならこの世界のキャラクターに一人くらい会わないとね!!

運が良かったらシッケアール王国にまで送ってくれないかなー…
まぁ、無理か…

原作読んでいても悪の塊みたいな人だったし


本気でドフラミンゴに会うなら色々と用意していかないといけないし、とりあえず宿でも探すとこから始めるか……



あ、お金ない……




●●

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ