DonQuixote Doflamingo

□海賊と姫の一週間
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01.新しい取り引き





別に対して興味はなかったが、島の興業も他の商売の方も安定してきているとあって、俺は暇つぶしに新しい取り引き先が居るという島に寄った





「こちらでございます、ジョーカー」

そう言われて通されたのは"俺"を迎えるには貧相な一軒家の一室だった
家具や装飾品もそれなりに高価ではあろうが、それも"一般家庭としては"である

こんな一般的な家がどうして裏社会なんかと繋がっているのか…

そんなことをぼんやりと考えながらドカッと部屋の真ん中にあるソファに腰を掛けた


「まさかジョーカーが直々にお越しくださるとは思いませんでしたわ。」


そう言って飲み物と一緒に現れたのは先程自分をこの部屋に連れてきた女だった


……ここにはメイドの一人もいないのか

「フフフ…なぁに、ただの暇つぶしさ。」

「アレが手に入ったあとでしたらもう少し素敵なおもてなしが出来たのですが…」

女は苦い笑みを浮かべながらそう言う

「まぁ、そう言うな。すぐにモノは寄越すさ。だが……ちゃんと払えんのか?あまり裕福には見えねぇが」


辺りを見回しながら率直に問えば、アレのためだけに溜めた金があるのだとか

身の回りは後回しでコツコツ貯金とは、この女は余程のこ取り引きアイテムが欲しいらしい

あんなもん欲しがるのは余程の娼婦か娼館のオーナーくらいだろう
ここに娼館でも建てようってのか、コイツは


「まぁ、取り引きが成立すんなら文句はねぇ。例のものは1週間後に届くはずだ。俺も1週間は滞在していく予定だから何かあれば電伝虫で連絡しろ。」

「ありがとうございます。」


そう言って、連絡先だけを置くと俺は立ち上がってホテルに足を向けた






しかし、本当に何もない島に来てしまったものだ
平和ではあるが、決して豊かではない
島にはホテルが一つ、ちらほらと酒場や服屋などの店を見かけるがどれも活気があるとは言えない

泊まる予定の島唯一のホテルに行ったものの、用意された女と酒は退屈しのぎにもならねぇ

もしかしたら明日にでも帰るかもしれねぇな
ただの暇つぶしなんだから別に1週間居なきゃいけねぇわけでもないからな

せめて今夜だけでも、と再び街に足を運んで良さそうな酒場を探す




しばらく街を歩くと一軒の酒場を見つけ、とりあえず中へ入る
ドアを開け辺りを見渡すと、そこそこ繁盛しているようで、それなりに席が埋まっていた

「いらっしゃ……」


酒場の店主がこちらに向いて声をかけたが、途中でヒッと息をのんで持っていたグラスを落とした

落としたグラスの音を聞いて何事かと店にいた客が店主の方を向き、その視線の先にいる俺を目に捉えると、それまでガヤガヤとうるさかった声が一瞬にしてシーンと静まった

「な、なんでこんなところに……」

一瞬の静まりの後に、ザワッとした動揺が店の中に広がった


「フフフ…気にすんな。ただの暇つぶしだ。さっきみたいに騒いでろよ」

俺は一番奥に空いた席を見つけると腰を下ろした


「にしても、この島にはいい女がいねぇ…ホテルに居た女もクソみてぇだった。…誰かマシなのはいねぇのか?」

酒場に居たヤツに問いかけるも、シーンという無言の答えしか返ってこなかった


「……おい。居ねぇのか?」

反応がないことに眉を寄せて再度問いかけると小さな声で答えが返ってきた


「……こ、この島でいい女、っていうのは一人思い当たりますが……外には一切出て来ないんで……」

「あ?どういうことだ」

問い返された男は、もともと小さかった声をもっと小さくしながら俺の質問に答えた


「みんな顔は知っているんですがねぇ…なんともその子の母親が部屋から出ることを許さないらしく……我々も顔と、たまに声を聞くくらいでして……」

「フフフ…まるでどこかの童話の姫みたいだな。面白そうだ。もっと話を聞かせろよ。フッフッフッ…」


 





面白い情報を手に入れた、と俺はその酒場を後にした


先程の酒場で色々と聞けば、その姫はさっき俺と取引した女の娘だと言う

これであの女の目的が分かった

あの女が欲しがっていたのは所謂"媚薬"だ
だが、ただの媚薬じゃねぇ
ドラッグのような依存性と一滴水に入れるだけでどんな女でも理性を失い欲望に忠実になるという代物

こんだけいい女がいない中、島民が口をそろえて島一の女だってんだ
そこで男の相手なんぞさせりゃあ、金もよく入る
フッフッフッ…そのためのアレか…
そりゃいい金儲けになるんだから手放したくねぇんだろうよ


しかし、そこまで折り紙付きならばこの島を発つ前にその面を拝んでおかなきゃならねぇな



島民の情報によると、俺が訪ねた家の裏に一つ、塔があり、その塔の窓からたまに顔を出しているらしい

ほぼ監禁状態のいい女、ね…

フフフ……まったく…本当にこんなのは童話の中かなんかだけだと思ってたよ


俺は少し口元を緩ませて笑うと、そのお姫サンが監禁されているという塔に向かった





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