DonQuixote Doflamingo

□海賊と姫の一週間
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04.ヒマつぶし





紗良が目を覚ます少し前に、俺は何者かが部屋へ向かってきている気配で目覚めた

何者か、というのは言うまでもなく紗良の母親の女だろう
本当は紗良が目覚めるまで一緒に寝てやりたかったが、初日から面倒事はごめんなので仕方なしに起き上がり、イスに掛かっていた上着を羽織る

塔を出る前に紗良を振り返れば、規則正しい呼吸と穏やかな表情で気持ちよさそうに寝ていた

「……。」

少しその様子を黙って見てから、そっと頭に手をのせると、窓に足をかけて外へと出る
とはいえ、すぐにホテルには帰らず、屋根へと上り、中の様子を少し窺う

屋根に腰をおろしてから間もなくガチャリ、と鍵が開く音がして静かに扉が開かれた
扉から顔を出した紗良の母親は少し部屋の中を歩き回ったあと、特に異常がないことを確認して部屋から出ていった


何をしに来たんだ、とそんなことを思わせるほど一瞬で部屋を出た女
きっとこれが習慣なんだろう
ちゃんと紗良が居るか毎朝確認するなんて余程あの女は紗良に執着があると見える

そんな女の大事なものが俺の手に落ちたときはさぞ嘆くだろう


そんなことを思いながら俺は「フッフッフ…」と笑いをこぼし、一枚、上着からピンクの羽を取ると窓の中から紗良のベッドへと投げ入れた











紗良の母親の邪魔から少しして、ホテルに戻ってからはソファに座り、酒を煽っていた


紗良は女というよりもまだ少し少女らしいあどけなさが残っていたが、噂に違わない容姿であった
そして、未だ穢れを知らない心と好奇心の強い瞳はどうも十分以上にこの島の滞在を楽しませてくれるだろう

とはいえ、まだ午前10時にもなっていない時計を見れば俺の口から深いため息が出た


……確かに楽しみはできたが、紗良に会うのは夜の間のみ
昼間はヒマでしょうがない


このまま酒を煽っていてもいいが、何しろ一向に酔える気がしない
女も紗良に会ったあとでは余計に呼びたくもない



どうしたものか、と少し頭を悩ませていると、ふと昨夜の会話を思い出した

ドレスローザという国について教えてあげていたとき、紗良が控えめな小さな声で
『行ってみたいです…』
と呟いたのだ

終始、俺の話を聞いている最中は好奇心に満ち溢れなんとも話を聞いているだけで楽しそうな顔だったが、一瞬少し悲しそうな顔をしたのがそう呟いたときだった

今、お出かけと称してドレスローザに連れていくことは約束と異なるため出来ないしする気もないが、それに代わる名案が俺の頭の中に浮かんできた


「フッフッフ…」

俺は笑いをこぼすとすぐさまドレスローザに居るであろうモネへと電伝虫をかけた

「……あぁ、そんでバッファローに持って来させろ。今日中に必要だからな、飛べるアイツがいい。」

俺は詳しいことは伝ず、持って来てほしいものと時間指定だけをして電伝虫を切った


この一週間の計画をものにするためにも紗良が島の外の世界に、俺の国に、俺に興味がでるのはいいことだ
それの一つとしてコレはいい繫がりになるだろう












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