DonQuixote Doflamingo
□依存
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02
「おい、ガキ。こんなところで何をしている。」
前方に夢中になっていたわたしは、後ろからかけられたドスの低い威嚇するような声に冷や汗を流した
この声の持ち主が海賊の仲間だと言うまでもなく察した
けれど、わたしは恐怖で反応することができずに、その場で体に力を入れて固まった
「あ…あ、あの………ひっ!!」
何とか質問に答えないと、と固まって動かない首を無理矢理動かしならがらやっとのことで振り返るが
後ろにいた人物を確認すると同時にもう何も言えないと、口を閉じて震えた
ああ……ロシーの言いつけを守ってここに来るのをやめればよかった…
わたしの目の前に立つ男は、わたしの倍くらい背が高かった
そのうえ、金髪に暗い色のサングラスをかけた怖い顔で
それとは正反対の可愛らしいピンクのコートを羽織っていた
「……まさかとは思うがウチに入りたいわけじゃねぇよな?」
その男が不審そうにわたしを見ながら聞いてきた
わたしは恐怖で震えて涙ぐみながらも違うと、とりあえず首を横に振る
「フフフ…だよなァ……じゃあ、もう一度聞くが、こんなとこで何してる。」
あぁ…、これで答えなかったら絶対殺される…
そう思って恐る恐る口を開く
「ロシーを……ロシナンテを追って来たんです…。どんなお仕事をしているのか気になって…」
ロシナンテの名前を出した瞬間に目の前の大男の顔つきが変わった
「……ロシナンテ…コラソンを?お前、何者だ?」
「えっと…ロシナンテと一緒に暮らしている一般人です。わたし、親がいなくて…それでロシナンテに拾ってもらったというか…」
「ほう……コラソンからはそんな話聞いたことねぇが」
疑わしそうにわたしを見る大男に気圧されながらも先程から疑問に思っていたことをぶつけてみる
「……あの…コラソンって誰ですか?」
「聞いてねぇのか?」
「何をですか?」
本当に何も知らないことが伝わったのか、大男は「はぁ…」とため息をついてから「教えてやる」と言った
「教えてやるが、それはもう俺のビジネスに関わる。だからその前にまず、なんでロシナンテを追っていたのかちゃんと説明しろ。」
そう言って大男は腰を下ろした
それでもほとんど変わらないところにある目を見ながら口を開いた
「ロシナンテとは一緒に暮らして6年になるんですが、何の仕事をしているのか全然知らなかったんです。…それで、この間帰ってきたときに聞いたら海賊してるって…しかも船長がお兄さんって言うんです。でも、それ以外は教えてくれなくて……。」
「それでその"お兄さん"と"仕事"が気になって追ってきたわけか」
「……はい。」
黙って話を聞いていた大男はわたしをジッと見た後、納得したのか威圧的で疑うような雰囲気をスッと緩めた
「フフフ…そうか。素直に全てを信じることはできねぇが、お前が知りたがってたことは教えてやる。」
やっと口元を緩めた大男に少しホッとしてわたしは次の言葉を待った
「まず、仕事だが…俺らは海賊だ。いいことはしてねぇ。まぁ、そこらへんのヤツから財宝を奪うってよりは闇取引の方がメインだ。」
「…闇取引……ですか。」
「あぁ。詳しいことは教えねぇがな。でその闇取引をするような裏で呼ばれるコードネームってのがある。コラソンはロシナンテのコードネームだ。」
…なるほど。ってことはさっきからコラソンと呼ばれていたのはロシナンテだったってことか。
別の呼び名で素性を隠したり、帰ってきたときに増えている傷跡
それだけで、その裏の世界っていうのがどれほど恐ろしいところなのかがよく分かる
わたしは話を聞いているだけで不安になってきた
ロシナンテがどれだけ心の優しくて真っすぐな正義を持っているかはよく知っていた
だから、そんなロシナンテが裏の世界なんかに居るのはどんなに嫌なことか…
でも、逆にそれでも海賊でいるのはきっと何か理由があるのだろう
ロシナンテを心配して顔を暗くするわたしとは逆に、目の前の大男は口元を歪めて驚きの言葉をわたしに言った
「そんで、お前の見たがっていたコラソンの兄は……俺だ。」
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