DonQuixote Doflamingo

□依存
5ページ/5ページ





05



ひとまず、自分がこのファミリーに受け入れられることが分かったのは良かったと思う

何しろわたしは一般人で、海賊や裏のことなど全く分からない
そんな足手まといにすらなりそうな女を受け入れるなんて容易なことではないだろう
正直、いくらドフィがいいと言っても全員に受け入れてもらえる自信はなかった

けれど、食卓に居るみんなは嫌な顔せずにわたしに話しかけてくれる


その様子は、今日からこの場所で精いっぱい生きていこうとわたしに決意させた

絶対にロシナンテを忘れることなんてできないけれどここのみんなが、ドフィが、きっとわたしの生きる理由になってくれる気がする


そんなことを思っていると、「紗良、何か食べられそうか」と声を掛けられた
何も食べずにただ座っているわたしにドフィが皿を寄こす
その上には美味しそうなサラダとピザがよそられていたけれど、やっぱり食欲がなくてただ首を横に振る

それにドフィは眉を寄せて「お前もパンとピザ食べねェのか。」なんて呟く

確かにロシナンテと暮らしているときはロシナンテの好き嫌いもあり、白米などの和食が多かったがわたしが食べられないことはない


……まぁ、和食の方が好きではあるけれど

「本当にお腹が減ってないだけなの。夕食はちゃんと食べるよ。」

本気で心配してそうなドフィに大丈夫だから、と言葉をかける
その言葉にドフィはそうか、と頷くと、「無理はするなよ。」とわたしの頭に軽く手を置いた





その日の午後はベビー5ちゃんと出掛けることになった
本当は部屋でゆっくりしたかったのだけど、ドフィに「行ってこい。」と言われてしまったのと、まだ自分の部屋ができていなかったので断ることができなかった




「紗良さん、コレ見てっ!!可愛いっ」なんて店から店を駆ける姿は妹ができたみたいで新鮮な感じがする
そんなベビー5ちゃんに「そうだね、それ可愛いね。」なんて全部に頷いていたら、いつの間にかものすごい量の洋服やアクセサリーがカウンターの上に重ねられていた

「え………と、これ全部買うわけじゃないよね?」

恐る恐るそんなことを聞くと、ベビー5ちゃんは「買うよ!!」なんて素敵な笑顔とともに答えてくれた

「ちょっと多くないかな…?これとかベビー5ちゃんには大きいんじゃない?」

ドフィにいくらお金をもらっていると言っても足りるのか、というくらい積み上げられた洋服の中から一枚のワンピースを取り出してベビー5ちゃんにあてがう

すると、ベビー5ちゃんは「え…?」とキョトンとしてから「ふふふっ」と可愛らしく笑った


「これはわたしのじゃないよっ。若様に紗良さんがこれからの生活で必要そうなもの全部買ってこいって言われてるの!」

そう言われて、わたしは「えっ!?」と目を見開く
というのもドフィがわたしが泣いて眠っていた間にロシーと住んでいたわたしの家からだいたいの荷物は持ってきてくれていたのだ
洋服だけでなく小物も家具も大体揃っているので改めて買う必要はない

「ベビー5ちゃん…?」

「ハイっ」

もう十分以上に積んであった洋服やアクセサリーの山に楽しそうにベビー5ちゃんはさらに洋服を積み上げていく
それを見て恐る恐る声をかけると楽しくてたまらない、と言った笑顔でわたしを見上げた

「選んでくれるのは嬉しいんだけど、ちょっと多いかな。洋服は一応ドフィに家から持ってきてもらったし、それにお金も足りなくなっちゃうよ?」

そうわたしが言うと、ベビー5ちゃんはハッとした顔をした

「ごめんなさいっ、買い物って久しぶりだったから、つい…。」

少し顔を曇らせたベビー5ちゃんに「謝ることはないよ。ありがとうね、わたしのためにこんなに選んでくれて」と笑ってベビー5ちゃんの手を取った

こんなに幼い頃から海賊をやっていれば"買い物"をするというのはなかなかない経験なのかもしれない
それこそ王下七武海となって政府側につかない限り海賊が欲しいものにお金を払う必要はない

それでも今日は一緒に買い物をしてくれているというのはきっと、一般人だったわたしに気を使ってくれてなんだろうな、と思う


そんなちょっとした気遣いが今はすごく嬉しい

山積みになった洋服の中からいくつか好みのものを選んで、支払いを済ませるとわたしとベビー5ちゃんはお店から出た

「紗良さん、本当にそれだけでいいの?」

少し不安そうにしながら尋ねてくるベビー5ちゃんに「うん、十分だよ」と笑顔を浮かべてわたしは手を差し出した

少しの間、手をジッと見ていたベビー5ちゃんはそっとわたしの手のひらに小さな手を重ねる

「ふふふ、なんか紗良さん、お姉さんみたいっ!紗良さんが来るまでそんな人いなかったからなんか嬉しいな。」

なんて笑顔で言うベビー5ちゃんに、「わたしもよ。妹ができたみたいで嬉しい。」なんて言って繋いだ手を少しだけぎゅっと握りしめた









前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ