あなた達と共に…

□共に…戦う
4ページ/10ページ

「本人は、手術は受けたくないそうです。」
「でも、手術したら戻るんですよね!?」
「はい…成功させたら…ですが…」
「……え?」
「この病院では、成功歴は一つもないんです…下手に手を出して失敗したら、取り返しがつかなくなってしまいます。」
「そんな…」
悠輝はその失敗を恐れたのか…手術は受けたくないと主張する。
諒がいくら説得しても考えを変えなかった。
「……………」
「悠輝、どうして……」
諒に聞かれて、僕はただ窓の外を見るだけだった。
「考えなおす気はないのか?」
「………」
僕は諒を睨みつけてしまった。
僅かだが、心の奥では、余計なお世話だと思っていたからかもしれない。
「ご…ごめん……」
僕に初めて睨みつけられた諒はおどおどしてから、僕の病室を後にした。
(これから…どうすれば……)
治療で声がある程度出せるようになっても、またなるかもしれない…
(ティエラ先生には、話しておくべきなのかな?)
先生になら、話しても……そう思った。
(退院したら、五稜館学園に行こう、そして、ティエラ先生に事情を説明しよう。)
でも、全く喋れなかったら、説明しようにもできない…だから…
「……ぁ……ぁぁ……」
ダメだ、喋ろうとしても吐息のような音が漏れるだけ……でも……
(しばらくしたら…少しぐらい話せるようにはなるかな?)
話せるようになる日が来ると、僕は信じることしかできなかった…
でも……
その日は、予想よりも早く訪れた……
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ