あなた達と共に…

□共に…戦う
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声帯溝症になってから、僕の生活は大きく変わってしまった。
話したいことを伝えたくても伝えることができない、御見舞に来てくれたクラスメイトや先生達にも、ありがとうの一言も言えない…それが辛かった……
声が出せないということが、これ程辛いなんて思わなかった……友人の諒にすら、いつものように話すことができない…頑張って話そうと思っても、吐息のような音しか聞こえない。
「……………………」
「悠輝、無理して喋らなくてもいいんだぞ?」
「……」
諒は足を骨折したというのに、僕のことを気遣って毎日僕の病室に来てくれる、看護師に呼び出されたり、食事の時以外はいつも僕の病室にいる。
「ゴメンな…」
「…?」
「あん時さぁ、シートベルトが壊れたことに早く気付いて、お前が飛ばされるのを止められたら、こんなことならずにすんだのによ…」
「…………………………………………!!」
お前は悪くないっ!! と言ったつもりだったが、諒には何も聞こえていない…最悪だ……何も……伝えることが出来ないなんて……!
「いや、正直俺にも責任はある、近くにいたのに、何もできなかったんだから……っと、湿っぽくなったな、悪い悪い、何かジュース買ってくるよ。」
「………」
喋っても喋らなくても…聞こえないことに変わりはない…………
(……諒……)
僕自身も…自分がどんな声だったのか忘れかけていた……ひょっとしたら……このまま一生喋れないのかもしれない……そんな考えたくもないことが、頭の中をグルグルと回り続けて、気がついたら、一滴の涙が、僕の頬をつたっていた………
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